最初の舞台は児童養護施設。主人公はそこで、ごく軽度の知的障害がある15歳の少年『バケツ』と出会う。悪いことをしても反省する様子がない、たとえ反省している様子があっても同じことを繰り返す。そんなバケツのことを放っておけない主人公が、バケツと二人して奮闘する連作中編集で、全3作から成る。
著者は障害者や高齢者をとりまく社会問題に興味のある人のようで、
『無敵のハンディキャップ―障害者が「プロレスラー」になった日』という本も書いている。こちらはノンフィクションで、講談社ノンフィクション賞も獲っている。本書『バケツ』は、そういう著者だからこそ描ける物語で、多少の暗さはあるものの、全体的には爽やか。ただし、話の展開はちょっと上手く運びすぎるところがあるかもしれない。
でも、読んで良かったと思える小説だった。
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