「HIV/エイズ否認主義」というものの存在を初めて知った。
否認主義の人たちは、「HIVはエイズの原因ではない」「エイズはHIV感染によるものではない」と主張する。アメリカをはじめ、南アフリカや他の国々では、こうした否認主義のせいで治療をやめるだけでなく、パートナーに感染させない「安全なセックス」に背を向け、また感染した母親が母子感染のリスクを否定して感染予防をせずに出産するといった事態が起こっているようだ。もしかすると、日本にも「HIV/エイズ否認主義」の人たちがいるのかもしれないが、あまりそういう噂は聞かない。
ただ、日本では癌治療について否認主義のような人たちがいる。それのHIV/エイズ版と考えれば分かりやすい。癌治療の否認主義と違い、HIV/エイズ否認主義では、感染者が他の人に感染させるという点で非常にたちが悪い。
この否認主義について、心理学者である著者が歴史を追い、インタビューを通じて考察してまとめたものが本書である。
翻訳は読みやすく、中身もしっかりしていた。HIV/エイズ否認主義は日本ではあまりないかもしれないが、癌治療否認主義もほぼ同じ構図だと思うので、そういう無責任な主張に憤りを感じている人は読んでみると良いだろう。
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