まったく知らない人の伝記である。プロ野球にかなり興味があるという人でも、スカウトの名前までは知らないのではなかろうか。
こういう縁もゆかりもない人の伝記を読むと、「読み手を惹きつけるような患者カルテの書きかた」を学ぶことができ、精神科医としてのトレーニングにもなる。というのは、だたの後付けの理由かな。すべての伝記が面白いとは言わないが、評判の高い伝記は読みごたえがあって良いものである。
さて、本書の主役である河西が大切にしていたのは、誠意と直感。これは対人援助職でも重要だ。誠意のほうは敢えて言うまでもない。直感はちょっと厄介だ。対人援助職では直感に頼りすぎて痛い目を見ることがあるし、それと同じくらい、直感を無視して残念な結果になることもある。直感・直観の扱いというのはなかなかに難しいものだ……。
野球選手の名前もたくさん出てきたが、知らない選手が多かった。それでも楽しめた本なので、伝記として上出来だと思う。
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