2019年5月21日

こうして読者は誤解する…… 『こうして世界は誤解する ジャーナリズムの現場で私が考えたこと』


イスラエルは、一般市民が犠牲になるような攻撃を受けた場合、報復するのに24時間ほど待つらしい。この理由が分かる人はいるだろうか?
イスラエルの苦しみについて立ち止まって考える時間を世界中のメディアに与えるためだ。
すぐに報復に出たのでは、攻撃と反撃だけがニュースの見出しを飾ってしまい、「ケンカ両成敗」になってしまう。まずは24時間、イスラエルが受けた被害だけを報道するよう仕向け、「仕返しするのも頷ける」という空気を作り出す、というわけだ。

もちろん、これはあくまでも著者の見かたであり、イスラエルにはイスラエルの言い分もあるだろう。ただ、本書を読んだことで中東問題を見る目は少し変わった気がする。

ところで、本書はタイトルから「ジャーナリズム全般に関する本」かと思っていたのだが、中身はオランダ人ジャーナリストが実体験した中東をめぐる報道に関するものだった。原題は『People Like Us: Misrepresenting the Middle East』で、ちゃんと「the Middle East」が入っているのに……、「こうして読者は誤解する」ではないか。

中身はそれなりに面白かったが、訳が少々頭に入りにくかった。原文がそうなのか、翻訳のせいなのか。

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