2019年7月18日

脳科学の進展はめざましい!? 素人でも読みやすい脳の話 『脳を知りたい!』


「脳科学の進展はめざましい」と聞いた時、どんなことを考えるだろうか。研究者と一般人とでは、イメージするものが異なっている。「狭く深い」と「広く浅い」の違いである。研究者の「めざましい」は範囲が限定的であるのに対し、一般人はそれが「身の回りにすぐに応用できるもの」と考えがちである。

そこで本書は、「狭く深い」と「広く浅い」の間を橋渡ししようという意図で書かれている。そのため著者は「専門用語をなるべく、いや、できるだけ使わないで書く」ことを自らに課している。そして、
断言してもよいが、ここまで専門用語を使わずに書かれた脳研究の最先端レポートは、いままでになかった。本音を言うと、私にはこれ以上、脳研究についてやさしく書く自信がない。
とまで言い切る。初版は2001年。現時点からすれば15年前なので、本書の内容が脳研究の最先端というわけにはいかないだろうが、脳研究の全体像をつかむには充分だと感じた。

各章のタイトルを記しておく。

第1章 脳と早期教育 早期教育で賢い脳は造れるのか
第2章 脳とうつ病 脳が故障するとき
第3章 脳と環境ホルモン 現代人の脳が環境ホルモンに壊される
第4章 脳と睡眠 なぜ眠いのか、眠れないのか
第5章 脳と視覚 ヒトはなぜ人の顔を識別できるのか
第6章 脳と言葉 失語症……脳はいかに言葉を認識するか
第7章 脳とアルツハイマー病 人はいかにしてアルツハイマー病になるのか
第8章 脳と意識 こころはどこにあるか

早期教育に関する第1章では、平易な文章で鋭い指摘がなされており素晴らしかった。これに対して、環境ホルモンの章では数字のトリック(実数を示さず、リスク何倍という表現)で不安を煽るようなものになっており、やや残念に感じた。それでも全体的には充分に面白い本だった。

余談ではあるが、文庫版の解説は茂木健一郎。うーん、脳科学に関して「広く浅く」応用できるような錯覚を一般人に植えつけてきた代表格ではないのか? そこはちょっといただけない。

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