同時通訳では、原稿を読む人の通訳はほぼ不可能らしい(事前に原稿を渡されている場合を除く)。
話し言葉には、同じことを言い換えたり繰り返したりと「冗語性」があり、そのおかげで「会話の主旨」をつかんだ同時通訳が可能になるそうだ。原稿を読む人のプレゼンが頭に残りにくいのも、きっと同じ理屈だ。
病気や治療について患者さんに説明する時、以前はいかにスムーズにすらすらとできるかを目指していた。そのほうが「デキる医者」に見えそうだと思ったから。しかし、耳から入る情報はなるべく冗語性のあるほうが頭に残りやすいようだと気づき、流暢さを捨てた。文章に書き起こせばクドクドと長ったらしいはずだが、相手の頭には残る。
逆に、読んでもらうための文章からは、冗語性をなるべく排除する。
会話は肥らせ、文章はスマートに。
これが理想である。
通訳の話は本書から学んだ。
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