2019年2月14日

スーパーノーマルなピカード艦長を知る一冊 『自叙伝 ジャン=リュック・ピカード』

診断 アルコール依存症

50代男性。実家は酒造を営んでおり、6歳上の兄がいる。幼少期から兄との折り合いが悪かった。また、その兄を父が可愛がり信頼しており、父や兄に対しては疎外感を抱いてきた。この感覚は成人以後も続いた。
一浪して東京大学へ進学したが、父からは一言も褒められず、むしろ冷ややかな反応を受けてしまった。帰省するたび、父や兄との確執は深まるばかりであったが、母との関係は良好だった。
父の死後、本人にあてた唯一の遺品である箱を開けると、中には東京大学不合格の通知が入っていた。自分が一浪したときの不合格通知を保管してあったのかと思ったが、よく見ると、亡くなった父が何十年も前に受験して不合格だったときのものであった。父が、東大に合格した自分に対して、密かに嫉妬していたことを知り衝撃を受けた。
警察庁にキャリアとして就職したが、配属先では野心が仇となった挫折を味わい、また自らのミスによって腹心の部下が刺殺されてしまうという事件もあった。

以下略。

と、ここまで書いて、アルコール依存症になるのも頷ける生育環境とキャリアだな、と感じてしまう。しかし、これはもちろん架空の病歴で、もとは『スタートレック』の有名艦長・ピカードの自伝を日本風にアレンジしたものだ。そして、ピカードはアルコールに溺れることはなかった。


機能不全とも言えるような家庭で育ち、キャリアでは挫折し、部下を死なせ、それでも折れなかったピカードは「スーパーノーマル」と言える。おそらく、彼に変わらぬ愛を注ぎ続けた母の存在が大きいのだろう。

スタートレックを改めて観たくなる本。

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