2013年8月31日

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
タイトルに偽りありといったところ。Amazonの商品紹介もちょっと……。統計に関して面白かったのは第一章だけ。あとは経済関連の話題にどんどん入り込んでいく。

だいたい、統計数字に騙されるなよ、という本なのに、
「近年の犯罪が凶悪化しているから」
という著者の個人的意見からいろいろと物を述べるのは違うのではないか? 凶悪化なんてしていない、という意味ではなく、それこそ統計数字を出してこないと単なる主観じゃないか、ということ。

図書館寄贈。

2013年8月30日

栃木リンチ殺人事件―殺害を決意させた警察の怠慢と企業の保身

栃木リンチ殺人事件―殺害を決意させた警察の怠慢と企業の保身
どうやったら犯罪に巻き込まれずに生きていけるか、そんなことを真剣に考えてしまった。

二部構成になっており、前半は被害者が受けたリンチを克明に生々しく描いている。小説であれば、主人公はどうにか逃げきることができるかもしれない。しかし、これは現実にあった殺人事件であり、リンチの結末が死であると分かっているだけに、読み進めるのとだんだん息苦しくなってくる。被害者が殺害され、前半部を読み切る頃には、被害者や彼のご両親らの辛さや哀しさが胸に迫り、また加害者に対する怒りや嫌悪感がふつふつと沸いてくる。
それが後半部で一転、この事件の裏側が少しずつ明るみに出てくると、加害者に対して感じたものとはまた違った種類の怒りが沸きおこる。この国の警察は、いったいどうなっているんだ。

穏やかに生きたい。でも、もしかしたら、自分や家族がこんな事件に巻き込まれるかもしれない。そしてその時もこの事件と同じで、警察は何もしてくれないのかもしれない。そう考えると、とにかく怖い。

2013年8月29日

沈黙のフライバイ

沈黙のフライバイ

SF。図書館寄贈。

たったこれだけの感想しか書きたくないくらい、俺には退屈な本だった。やたら評価が高いが、ストーリー重視の小説が好きな人には勧められない。

2013年8月28日

冷蔵庫、ピザ、調味料……、悪ふざけ写真が繰り返される理由

店の冷蔵庫に入ったり、客に出す前のピザ生地を自分の顔に乗せたり、果ては客が調味料を鼻の穴に突っ込んだりと、悪ふざけ写真が話題になることが多い。そういうニュースを見て、
「どうして彼らはこんなに話題になっているのに真似するんだろう?」
と疑問に思う人と、
「こうやって話題にするから真似するんだ」
と憤る人といるが、きっとどちらも気づいていないことがある。

俺は新聞を購読している。
あなたはどうだろう?

俺は日経メディカルをチェックしている。
あなたはどうだろう?

俺はヤフーニュースを時どきチェックする。
あなたはどうだろう?

俺はCNNの日本語サイトも時どき見る。
あなたはどうだろう?

では、次に考えてみよう。
こういうことをやっている人たちは、どうだろう?

俺は新聞も日経メディカルもヤフーニュースもCNNも見ているが、あなたも同じようにこれら全部をチェックしているとは思えない。逆に、あなたがチェックしているサイトを俺が見ていないことも多いだろう。

そう、情報ソースには偏りがあるのだ。そして、こういうことをやっている人たちのことを想像してみると、彼らがいわゆる「ニュース系」のソースに目を通すとは思えない。

おそらく、彼らは知らないのだ。
同じようなことをした先人たちが、どのような目に遭い、どんな処分を受けたのかを。彼らのうち、先人たちの存在を知らない者はこう思っているのだろう。
「こんな面白いこと思いついて実行に移せるのは、自分だけ」

中には、ツイッターなどで「面白い!」として拡散された先人たちの画像を見て、俺も私もと真似てみた人がいるかもしれない。
「自分にだってできるもん!」
なんて感覚かもしれない。そしてそんな彼らが、その先人たちがその後どういう末路をたどったか、そこまでチェックするなんてことはないだろう。

断言できるが、彼らはニュースを見て真似しているわけではない。その逆で、独自の思いつきにしろ誰かの真似にしろ、ニュースを見ていないからこそ、こうまで無邪気にバカなことをやれるのだ。

では、彼らに「こんなことをしたら、大変なことになるよ」というメッセージを届けるにはどうしたら良いのか。それは、彼らが目にするだろうと思われるサイトや雑誌で取り上げることだ。今のように新聞やテレビニュース、ニュースサイト、2chまとめで取り上げたところで、意味があるわけないじゃないか。どうせ彼らは見ないのだから。

え? だったら、どういうところでアピールすべきかって?

俺に分かるわけないでしょ、こんなバカの大半がチェックしている媒体なんて。


ちなみに、こういうバカなことをする人が急に増えたわけではないと思う。今までは携帯で撮影して友人に見せたりメールしたりして笑い合っていただけのものが、ツイッターその他のSNSの登場によって、使い方を間違えて(?)拡散することが増えたからだろう。つまり、
「ここまで話題になっているのに、なぜ繰り返されるのだろう?」
という問いは的外れであり、
「どうしてここまで発見・発覚数が増えたのだろう?」
という問いのほうが、より真実に近づけると思う。

もしここまで読んで、
「いや、自分の世代にはこんなことなかった!」
なんて思うあなたは、結局、自分が情報ソースの一部にしか触れていないということに気づけていないだけであり、一歩間違うと彼らの仲間入りをする恐れだってあるのだ。

きみの友だち

きみの友だち
やはり重松清さんは面白い、のだが、この小説に関してはラストが嫌い。オールスター登場といった趣きで、なんで最後にこんなしょうもない話を持って来たんだよぅ……と哀しくなってしまった。でもラスト以外は素晴らしい。

2013年8月27日

青い星まで飛んでいけ

青い星まで飛んでいけ
とてつもなく面白かった短編集『老ヴォールの惑星』の作者・小川一水によるSF短編集。やはりこれも面白かった。小川一水、けっこう良いなぁ。

2013年8月26日

シャイロックの子供たち

シャイロックと聞いて誰もが頭に思い浮かべるのは、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』のユダヤ人金貸しだろう。というのは俺の見栄で、

「シャイロック? ジャバウォック?」

と、その区別もついていなかったのが本当のところ。ちなみにジャバウォックは『鏡の国のアリス』に出てくる架空の生物。

シャイロックの子供たち
本書は銀行を舞台にした短編集のような長編ミステリ小説。作者は、いま話題のテレビドラマ『半沢直樹』の原作者・池井戸潤で、俺にとっては池井戸の初体験。期待ハズレじゃないことを願いながら読み始め、あっという間に読み耽り、時が経つのも忘れて読み終えた。

池井戸潤、恐るべし。彼のその他の本、図書館で借りるか、それとも買って蔵書にするか、凄く悩ましい。それくらい面白い。

2013年8月25日

ふわふわの泉

ふわふわの泉
Amazonレビューで★3つ以下の人の言うことが参考になる。決して嫌いではないけれど、浅いしご都合主義だし、どうということもない小説。

図書館寄贈。

2013年8月23日

過保護なニュースたち

猛暑である。それはもう、各地で観測史上でどうこうと言われるくらいに、全国的にもの凄く暑いようだ。さて、毎朝ラジオを聞く俺は、毎回のように引っかかることがある。それは、

「本日も最高気温が○○度を超えると予想されています。皆さん、不必要な外出は控えるように~」

といった文言だ。気象庁がその日の最高気温を予測するのは問題ないし、不必要な外出を控えるように促すのも良いだろう。しかし、それはラジオという媒体を通じて広めるべき情報なのだろうか?

例えば、朝降っている雨が大雨になりそうだとか、雪が積もって大変なことになりそうだとか、台風がこっちに来ているとか、そいういうことはテレビやラジオを通じて情報提供してもらうほうが良い。なぜなら、目の前で降っている雨や雪、吹いている風がどれくらいのものでいつまで続きそうなのか、一般人には分からないからだ。

しかし、気温は違う。暑いか寒いか、そんなもの誰だって分かる。それをわざわざテレビやラジオで、「今日は炎天下になるから外出を控えろ」と注意するなんてバカげていると思わないのだろうか。そこまでしないと、日本人はバカみたいに炎天下に突入して倒れるのだろうか。いや、逆の言い方のほうが良いか。むしろ、こう問いたい。炎天下に特攻する人たちはテレビやラジオの忠告を素直に聞くのだろうか。

テレビもラジオも、もちろん活字媒体も、どういう人を対象としているか意識しないと無駄な事実(それは情報とは言えない)の羅列になる。例えば新聞の中の難しい漢字を平仮名に置き換えたところで、新聞を読む人の層はある程度決まっていて変わらない。むしろ平仮名だらけの新聞に嫌気がさす人のほうが多いはずだ。それと同じで、何でもかんでも「マスコミが想定する一般庶民」(どうやら相当にバカだと思われている)を対象にして発信すると、ただただウンザリする冗長なものになるだけだ。

改めて問う。
「暑いから外出を控えましょう」
そんな忠告を期待している視聴者層ってどんな人たちなんだ!?


歴史は「べき乗則」で動く-種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学


これは実に面白かった!! 俺の蔵書行き(蔵書にしない本は図書館に寄贈)。

少しだけ難解だけど、しっかり読めばだいたい分かる、といったレベルの本は知的好奇心を満たしてくれる。ちなみに、この難解かどうかの判断は俺基準なので、
「こんな簡単なものが難解で知的好奇心が満たされるなんて……」
と笑う人もいるかもしれないが、知を求め教養を深めたいと思う人には是非お勧めの一冊。

昨日までまったく知らなかった世界を覗けたことに感謝。

2013年8月22日

知の逆転

知の逆転
かなり評判の良い本、なのだが俺はどうにも薄っぺらく感じられて仕方がなかった。特にジャレド・ダイアモンドのインタビューはひどかった。

ただ、この本をとっかかりにして知的好奇心を満たしてくれる世界や本へ足を踏み入れる人は多数いるだろうし、そういう意味では良い本だろう。事実、俺もこの本を読んで、ノーム・チョムスキーやジェームズ・ワトソンの本を読んでみようと思っているところ。

2013年8月21日

トイデジキングを買った

トイデジキング
本当はGIZMON HALF Dが欲しかったのだけれど、これが製造中止なのかどこにも売っていない。そこでほとんど同じものという評判のトイデジキングを買うことにした。

「どんな写真が撮れるの?」
この問いは凄く大事なわけで、適当に撮った写真を載せてみる。敢えて適当に撮った写真を載せるのは、
「あまり考えずに撮っても、こんな感じの写真ができますよ」
ということを伝えたいからだ。

PICT0020
祖父母の家。

PICT0021
上の写真から180℃振り返った風景。

PICT0022

PICT0028
妻の実家にて。

PICT0029

おもしろいでしょ!?
興味を持った人、買ってみましょう!!

トイデジキング

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子
この本を読んで、面白いと言う人は3つに分けられる。

1.本当に頭が良くてスラスラ理解した人
2.基礎知識がほとんどないからこそ、素直にスイスイ読み進められた人
3.見栄を張っている人

では、基礎知識の多少ある人が読んだらどういう感想になるかというと、「ウンザリする」だろう。そう、ウンザリするのだ。ドーキンス博士の上手いのかもしれないがいまいち分かりにくい例え話にウンザリするし、この本を訳した人たちの翻訳力にウンザリし、もしかしたら翻訳家たちが悪いのではなく博士の書いた原文がこんなものなのかもしれないと思い至ってウンザリする。

よほど知識と読解力に自信がある人以外は、手を出さないに限る一冊。

2013年8月20日

亀の旅


とてもよくできたパラパラ漫画。

コマ数をそう多く使っていないにもかかわらず、きちんと動きが表現されている。これは実は凄いことだ。コマ数を徹底的に増やせば、もっと滑らかな動きの再現が可能だろうが、ここまでコマ数を少なくしても絵の中の動きは分かる。それは観る側の脳が、絵と絵の隙間を埋める処理をするからだ。読書では「行間を読む」という言葉があるが、これはまさに「絵間を観る」といったところ。作者がそこまで意識して創りあげたのか、あるいはセンスでやり遂げたのかは不明だが、素晴らしい作品だったので紹介。

ちなみに、作者は俺の後輩小児科医で、サクラのプライベート主治医でもある。

次に会って飲む時には、原案を一緒に考えてみたい。

京都怪談 おじゃみ

京都怪談 おじゃみ
『幽』の怪談文学賞で『富士子 島の怪談』ど同時に短編部門で大賞をとった作品を含む短編集。好みは分かれると思うが、俺は『富士子』のほうが好き。ただ本作も良い雰囲気・味わいがあった。作者の今後に期待。

2013年8月19日

シュレディンガーのチョコパフェ

シュレディンガーのチョコパフェ
うん、まぁまぁ、かな。もの凄く面白かったということはない。

2013年8月12日

予想どおりに不合理 「あなたがそれを選ぶわけ」

まず、雑誌『エコノミスト』のウェブサイトで実際にあった広告を見てもらいたい。
(1)エコノミスト・ドット・コムの購読 59ドル
(2)印刷版の購読           125ドル
(3)印刷版およびウェブ版のセット購読 125ドル
(2)と(3)がともに「125ドル」なのは誤字誤植ではない。では、これを見た人たちは、どう反応するのだろうか。マサチューセッツ工科大学の学生100人に選ばせたところ、
(1)エコノミスト・ドット・コムの購読 16人
(2)印刷版の購読           0人
(3)印刷版およびウェブ版のセット購読 84人
であった。(2)を選んだのは一人もいない。すごく当然の選択に見える。この(2)は無意味な存在ではないだろうか。だとしたら、エコノミスト誌の宣伝部が無駄な選択肢を敢えて加えた理由はなんだろう。それが次の実験で明らかになる。

同じく学生100人に、上記から(2)を省略した以下の広告を見せてアンケートをとった。
(1)エコノミスト・ドット・コムの購読 59ドル
(2)印刷版およびウェブ版のセット購読 125ドル
「印刷物の購読125ドル」という選択肢がなくなっているだけだが、その結果は
(1)エコノミスト・ドット・コムの購読 68人
(2)印刷版およびウェブ版のセット購読 32人
ウェブ購読が一気に増え、セット購読は大幅に減っている。ここで著者は無駄に見える「印刷物のみの購読」を「おとり」と呼ぶ。このおとりがあることで、消費者はよりセット購読のお得感に惹かれるというのだ。

名著である。これまでも行動経済学関係の本は何冊か読んで、そのいずれもがアタリ本であった。どの本もこのブログでは「良い本だった」くらいしか感想を書いていない。あまりに本の中身が素晴らしいので、引用したり要約したりして伝える気が失せてしまうのだ。

ただ、本書ではすごく分かりやすい例があったので、久しぶりに引用してみることにする。

これはほんの一例に過ぎず、他にも行動経済学の実験結果やそこから導き出される結論などが分かりやすく書いてある。このブログを読んで興味をもった人は、ぜひとも一緒に行動経済学の世界に入りましょう。日常生活でも結構役に立ちそうなことが多いはず。

2013年8月10日

ジャーナリズム崩壊

ジャーナリズム崩壊
言いたいことは分かるが、もう少し冷静になれ、と言いたくなる本。あちらこちらに辛辣な記述があり、著者は皮肉のつもりで書いているのかもしれないが、皮肉にしては多すぎて、本当に伝えたいことが霞んでしまっている。お勧めできない本。

2013年8月9日

錆びたボタン

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最後の一けた、『7』のボタンを押せないまま、もう何度、受話器を置いただろうか。そのたびに、つり銭口に落ちる十円硬貨の乾いた音が、電話ボックスの中に響き渡る。もう一度だけ声が聞きたい、ちゃんとさようならって言いたい、名前を呼んで欲しい、そんな可愛らしくも未練たらしい想いがないわけではない。でも、別の、真逆の、すごく黒々とした気持ちもある。批難、恨み節、呪詛の言葉。いま会話したら、きっと最後はそういう負の感情をぶつけて終わってしまう。そう思うと悲しくて、そんな幕引きをするのが嫌で、そのあとの自分の心が怖くて、少し錆びたボタンが押せない。

私は十円硬貨を再び電話器に入れた。ゆっくりとボタンを押していく。

嘘をついていた彼は悪い。でも、騙されたふりをしていた私は、ずるい。彼の左手に残る指輪の跡を見ないようにしてきた。私の頬に残る涙の跡は見せないようにしてきた。そういうふうにして、お互いに背中を見せないような付き合い方をしてきた。こんな嘘つき男とずるい女で、行きつく未来なんてたかが知れいていたけれど、それを盲目というのなら、彼はともかく、私はまさにそうだった。先が見えないことを無理やり良いほうに考えようとしていた。だけど本当は、先は見えないんじゃなくて、そもそも先なんてないってことも分かっていた。

そしてまた、最後のボタンを押せないままに、私はため息をついて受話器を置いた。

あなたのことを好きだった。あなたは私を好きだったの? 私はいまも好き。あれから、あなたを何度も夢に見た。私はあなたの夢に出たのかな? 奥さんと別れて欲しいなんて言えなかったよ。あなたは奥さんと別れようなんて思ったことはある? あなたを殺して私も死のうと考えたことがある。私に殺されるかもしれないなんて、あなた思ったことはある?

私は、これが最後と思い定めて、十円玉を電話機に滑り込ませた。その時だ。電話ボックスの外でワイワイと騒がしい声がし始めたかと思うと、突然ドアが乱暴に叩かれた。
「すいませぇん、すいませぇん」
間延びした声が聞こえ、振り向くと金髪の若い男性が立ってこちらを覗き込んでいた。私は体を硬くする。受話器を持つ手が震えた。見ず知らずの男性に間近で声をかけられた驚きや怖さというより、私にとってすごく大切な時間を邪魔された怒りからくる震えだった。私はドアに顔を近づけて、思いきり若者を睨みつけた。

「うわっ」
「おいおい、ふかしやめろって」
「いや、マジだって」
「ビビりすぎだっつの」
「いやマジ、女が睨んでたんだって」
「おめぇウワサ信じすぎだし」
「じゃ、おまえらもやってみろよ」
「やめとくわ、オバケとか興味ねぇし」

だんだんと騒がしい声が遠ざかっていく。私の大切な時間が戻ってくる。私は受話器を握りしめ、ゆっくりと、ゆっくりと、錆びたボタンを押していく。

売春未満~新・名前のない女たち 素人女性編

売春未満~新・名前のない女たち 素人女性編
相変わらずのクール&ドライな女性評が読んでいて心地良い。それにしても、売春や風俗を軽く考えている女性が多すぎることに驚く。風俗関係者をたくさん取材してきた著者ですら驚いているくらいだから、この本を読む素人はみな驚き呆れるだろう。でもこれが現実なんだよなぁ。

2013年8月2日

ルパンの消息

ルパンの消息
横山秀夫にしては、全体の雰囲気作りが拙いというか、話運びがまだるっこしいというか……、と思った。読み終えて知ったのだが、横山のデビュー作だった。なるほど、謎が解けた。

ただストーリーは凄く良かった。謎解きも、伏線回収も問題ない。ただ、全体的にもう少しスッキリした物語にできたと思う。群像劇に仕立て上げたというのが、ちょっと勿体なかった気がする。