血液検査の結果はかなり客観的である。あとはそれを正しく「読む」ことができるかどうかにかかっている。そして、数値を読むためにはセンスや経験以上に、知識と心がけが求められる。
本書は、
疾患頻度を意識して、フツーの開業医が毎日のように遭遇している、ありふれた血液疾患や血液学的プロブレムの、まっとうな扱い方を指南することをコンセプトにしてある。したがって、「試験によく出るが、実際の疾患頻度はかなり低い」病気ではなく、プライマリで出会う確率の高い病気をメインに扱ってある。
例えば、検査で赤血球が増加している場合。喫煙者の赤血球増加症の98%は喫煙そのものが原因であり、真性赤血球増加症の頻度は1%以下である」という知識を重視し、まずは「smokers’ polycythemia」の可能性から考えるべきだ、と指南する。
また各項目に『Clinical Bottom Line 最低限これだけは』というのがあり、例えば貧血では、
貧血患者を診たら、まずMCVと網赤血球を「読む」と強調してある。また、それぞれの病気については「患者さんのマネジメント」「こんなとき専門医へ」「患者さんへの説明ポイント」といった項目もあり参考になる。
身体的な病気がなくて精神科だけに通っている患者にとって、精神科医はプライマリケア医の役目も少し担わなければならない。血液検査は薬物血中濃度や副作用チェックのために定期的に行なっているので、こういう本で分かりやすく勉強できたのは幸いだった。
ちなみに、血液検査を読むときの「心がけ」は何かというと、常に「過去の結果」もチェックする習慣を保つことである。本書にもたびたび「過去の結果と比べよ」と出てくる。
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