2012年4月12日

ぼくのエリ

評判に偽りなし。

これはもう、ネタバレせずには語れないっ!!

初めてのスウェーデン映画。面白そうではあったけれど、不安でもあった。だって、スウェーデンで映画作ってるなんて知らなかったし(失礼)。しかし、観てみると想像以上に面白かった。

というわけで、お勧め映画。

以下、ネタバレ。



冬のスウェーデン。雪の降り積もる街に住む少年オスカー。父母は離婚していて、彼は母と一緒に生活し、学校ではいじめの標的となっていた。家に帰ると、オスカーは、住んでいるマンションの庭の樹にナイフを突き立てながら、
「ピーピー泣けよ、豚ども」
といってストレス発散をしていた。そんなオスカーの前に現れた一人の少女。彼女の名はエリ。このエリがヴァンパイアという話である。

物語りの後半、オスカーがエリの裸の下半身を見るシーンがある。そして、その場面で大事な場所にモザイクがかけられている。このモザイクは日本の映倫で付けられたものらしい。観ていて、
「つまり、エリにチンチンがあったってこと? 実は男の子だったの?」
という感想しか持てなかった。

ところが調べてみると、このモザイクで消された部分には、去勢の傷跡があるらしい。エリは、少女ではなく、去勢された男の子だった、ということ。1500年ころのヨーロッパで、変声期前の声を失わないように始まったそうだ。エリがどういう経緯でヴァンパイアになったか分からないが、どうやら去勢が施されたということらしい。ちなみに、カストラート、というそうだ。

ヴァンパイアのエリは、男性器はないけれど、女性ではない。そして、人間の姿をしているけれど、人間ではない。子どものような姿だけれど、年齢は200歳を超えている。通常、人は何かに所属することで自らの精神的安定を保っていられるのだと思う。アイデンティティとでも言うのだろうか。その「何か」は国籍でも職業でも良いし、家族でも良い。しかし、エリにはそれがない。国籍はなく、家族もおらず、男でも女でもなく、子どもでもないし、人間ですらない。唯一、ヴァンパイアという分類しか当てはまらないのだが、その中でも、男のヴァンパイアでもなく、女のヴァンパイアでもない。こんな孤独があるだろうか。


余談ではあるが。物語り途中、中年女性がエリに血を吸われるが、途中で救出される。その後、この女性はヴァンパイアになってしまうのだが、画面に映るたび、気をつけて観ないと気づかない程度に微妙に若返っていて、けっこう芸が細かいなぁと感心してしまった。

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