2017年10月18日

教科書ではない、ヒント集だ! 『森を見る力 インターネット以後の社会を生きる』


『ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ』でファンになった橘川幸夫による、ネット時代を生きる人たちに向けた「ヒント集」。これを決して教科書だと思ってはいけない。時代は常に変わっていき、本書の内容もすぐに時代遅れになる。ただ、ヒントとして考えたことや身につけたことは、きっとこれから先を生きる糧になる。

橘川氏はツイッター(@metakit)ブログでも情報発信されているので、気になる人はチェック。

2017年10月17日

鵜呑みにせず、飲み会ネタくらいに考えておきましょう! 『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?』


脳科学者が雑誌に連載したエッセイをまとめたもので、それぞれのエッセイに追記を加筆してある。面白くはあるのだが、全体的には眉をツバで濡らしまくって読んだほうが良いような部分もある。

単行本初版が2006年。10年以上前なのだから情報が古くても仕方ない、というわけでもない。たとえば睡眠について「人の体内時計は25時間周期」という記述があるが、1999年にハーバード大学で厳密に行なわれた研究では24時間11分という結果で、日本での追試でも24時間10分だった(『8時間睡眠のウソ』より)。本書を読む人は「出版される7年前の研究さえスルーされている箇所がある」ということは認識しておくべきだろう。

そういうわけで、決して鵜呑みにせず、合コンでウンチク披露するくらいに留めておくほうが良い。

2017年10月16日

東日本大震災で人知れず活躍した人たちを讃えつつ、民主党を無能集団として徹底的にこき下ろす佐々節全開の本 『佐々淳行の危機の心得 名もなき英雄たちの実話物語』


「危機の心得」と銘打ってはあるものの、実際には「名もなき英雄たちの実話」のほうがメインである。リーダーシップ論や自己啓発系の本だと期待して読むと、ちょっと肩すかしをくうだろう。

実話を集めてはあるものの、ノンフィクションとして読むにはそれぞれの内容はあっさりしすぎていて、ぐっと引き込まれるようなものは少ない(皆無ではない)。

功労者を現場で速やかに昇進させる「フィールド・プロモーション」について知ることができたのは良かった。といっても、自分が誰かを昇進させる立場になることは絶対にないんだけれど。

佐々氏の民主党大嫌い節が全開で、無能集団として徹底的にこき下ろすのが読んでいて痛快ではあった。

2017年10月7日

全体的には治療者向けだが、自分自身、あるいは家族・友人が境界性人格障害という人も読む価値は充分にある! 『境界性人格障害のすべて』から (4)


全体的には治療者向けの本ではあるが、自分自身、あるいは家族・友人がBPDという人が読む価値は充分にある。

ただし、書いてある症状・性格を自分自身に当てはめて考えないように。何を隠そう、俺自身がその罠にはまりかけ、「あぁ、俺ってBPDなのかもしれない」という気持ちになったのだ。

さて、BPDの根底にあるもの、それは「安心感の欠如」である。本来であれば、0歳から5歳くらいの間に養育者から与えられるべき安心感を、身体的・性的な虐待、ネグレクト、離婚などで、充分に与えてもらえないことがある。こういう家族を、機能がうまく作動していないという意味で「機能不全家族」という。その後、小学校に入ってしばらくの間、安心感の欠如は症状として表面には出てこない。この時期を潜伏期、潜在期、あるいは「ギャング・エイジ」とも言う。同世代の同性とグループを作って遊ぶ時期で、わりと安定していることが多い。ところが、思春期に入ると、情動の不安定性が噴出する。幼児期の「安心感の欠如」のツケがまわってくるのだ。

最後に、アメリカのエール大学精神科のリッズ教授が挙げる『健康家族の三大条件』について記載しておく。

  1. 夫婦間同盟 なにがなんでも妻を守ってあげる。
  2. 世代間境界の確立 祖父母に口出しさせない。
  3. 性別役割の明確化 父は男性モデル、母は女性モデルになる。

これには、特に3番に関して異を唱えたくなる人もいるだろう。あくまでも参考程度と割り切り、知っておいて損はしないと思う。

それから2について。子どもの責任は、成長して最終的には子ども自身がとるとしても、それまでの最終責任は親が担う。その最終責任を負うことのない人(祖父母や親せき)に余計な口出しをさせない、というのが「世代間境界の確立」である。

以上、かなり少ない分量の抜粋・要約であったが、この本に関してはこれで終わり。

2017年10月6日

全体的には治療者向けだが、自分自身、あるいは家族・友人が境界性人格障害という人も読む価値は充分にある! 『境界性人格障害のすべて』から (3)


今回は、SET(支持、共感、真実)のどれかが欠けた場合についてである。

支持が充分に伝わっていないと、BPDの人は、
「自分を心配していない」
「自分との関わり合いを避けている」
と言って、こちらを非難する反応を示す。
「私のことなんてどうでも良いのね!!」
と彼らが責める時は、たいてい「支持」がうまく伝わっていない。

共感がうまく伝わらないと、
「あなたには私の気持ちなど分からない」
と、自分の気持ちが理解されていないという感覚を引き起こす。そして、BPDの人たちは、「分かってもらえない」という理由を掲げて、コミュニケーション拒否を正当化する。

最後に、真実がうまく伝わらない場合であるが、さらに危険な状況が生じることになる。支持と共感だけが伝わってしまった場合、BPDの人たちは、相手の容認を自分にとって最も都合の良い形で解釈する。そして、自分にかかわる責任を相手が引き受けてくれると勘違いするか、そうでなければ、自分の考え方、感じ方が全面的に受け容れられ支持されていると誤解してしまう。まっすぐ向き合う姿勢での「真実」が伝わらないと、BPDの人たちは相手にしがみつこうとする態度をいつまでも続けてしまうことになる。

今回はここまで。