2017年5月23日

名人・升田幸三の破天荒な将棋人生 『名人に香車を引いた男 升田幸三自伝』


精神科医としての第一歩を踏み出した病院には、将棋好きの先生が二人いた。二人は同期で、毎日の昼休みや仕事終わりに将棋を指して、勝った負けたと互いに一喜一憂していた。また、研修医時代に師事した精神科の先生もこの二人と同期で、この先生はなんとプロ棋士と対戦して勝ったことがあるという素人猛者であった。

そういう将棋環境(?)だったので、小学校時代にハマった将棋への興味が少しだけよみがえった。ただ、定石を覚えたり、詰め将棋をやったり、棋譜を研究したりするのがまったく性に合っていない。

ところが、数年前にたまたま読んだ『将棋の子』が面白く、続けて読んだ同著者の『聖の青春』がまた輪をかけて面白かったので、「将棋を読む」ことは好きになった。そこから将棋マニアでもあった団鬼六のエッセイを読みあさり、今回は名人・升田幸三の自伝である。

前評判は高かったが、一抹の不安はあった。上記のように、将棋そのものには興味がないので、棋譜がたくさん出てきたり、定石とか戦法とかの説明に多くを割かれたりすると嫌気がさすと思ったのだ。しかしそれは杞憂であった。升田幸三の大風呂敷な語りが妙に心地よく、少しも退屈することなく最後まで読んでしまった。いくらか棋譜は出てくるが、それは完全にスルーした。それでも楽しめるくらい面白い自伝である。

2017年5月22日

Amazonアカウントの乗っ取り被害に遭う……

どうやったのか分からないが、Amazonのアカウントを乗っ取られてしまった……。

気づいたのが朝の5時半、乗っ取りは4時間前の1時半。

メールに「アカウントの修正」というタイトルで、登録アドレス変更の連絡があっていた。その時点でAmazonにはログインできず……。

すぐにAmazonおよびカード会社に連絡した(どちらも24時間の電話対応。職員の皆さま、お疲れさまです)。

Amazonのほうは変更された形跡の確認がとれて、これから調査に入るとのこと。分かり次第、また連絡をくれるそうだ。カード会社のほうは、ひとまず2社とも停止・再発行。不正利用が発覚した場合、連絡すれば請求はされないとのこと。

朝っぱらから冷や汗ものだった。パソコンやスマホ上の他のサイトで登録情報等がハッキングされた形跡はないので、アドレスやパスワードをランダムで入力するのに当たってしまったのかな……?

いずれにしろ、ハッキリするまでソワソワ落ち着かない。

【平成29年5月23日 追記】
5月22日12時半頃にAmazonからメールがあり、上記の件は解決した。メールには「ご利用者様保護の一環の定常的なモニタリング活動を通じて」不正が分かったということが書いてあった。

そこでふと思い出したのだが、AIが「普段の消費動向と違う」と判断したらストップがかかるんだったかな?

たとえばAmazonギフト券なんて買ったことがない人が、ある日、メールアドレスの変更と同時にギフト券を大量発注したら、AIがおかしいと判断する。あるいは普段は日用品しか買わない人が、高額家電をいくつも注文したら、やはり変だと判断する。

そういうことができる時代みたい。

2017年5月19日

治療ハウツー本ではない 『統合失調症治療の再検討』


決して治療のハウツー本ではない。

統合失調症にまつわる歴史的な考察から始まり、精神科治療(薬物、ECTだけでなく、OT、絵画療法、音楽療法、カウンセリング等々)の批判的吟味、精神科病院についての著者の考え、デイケアについて、最後に統合失調症をとりまく諸問題を語る。

「精神科に興味がある」くらいの人が読んでも面白味はないかもしれない。仕事として精神科に関わっている人がこういう本を読んで、著者の考えに賛成したり反対したりしながら、自らの相対的な立ち位置を確認する、そのための本と言える。

本文ではないが、あとがきには中井久夫先生についての逸話がいくつか書かれており、やはり凄い先生なのだなぁと感じた。

どんな感じか参考になるよう、「カウンセリング」についてのページの写真を載せておく。

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2017年5月18日

日航機墜落事故で亡くなった同世代、健くんに想いをはせながら読む 『悲しみを抱きしめて 御巣鷹・日航機墜落事故の30年』


健くん、やっと会えたね。

1985年8月12日、俺は生まれて初めての一人旅で、初めて飛行機に乗った。俺が羽田空港に着いたのと入れ替わるようにして、一機の飛行機が伊丹空港にむけて飛び立った。御巣鷹山に墜落した日本航空123便である。

この事故で亡くなった人の中に、俺と同級生の少年がいたということを、10年ほど前の新聞で読んだ。彼も俺と同じく初めての飛行機、初めての一人旅で、甲子園での高校野球観戦が目的だったらしい。その記事を読んで以来、ずっと彼のことが気にかかっていた。日航機墜落事故の本を何冊も読み、ところどころに出てくる彼の話を目にするたびに、当時の自分が母に見送られて飛行機に乗る場面を思い出した。同じ日に、同じように初めての一人旅で、しかも一人で飛行機に乗るという共通点に、言い知れない因縁めいたものを感じていた。

今回、本書で初めて彼の写真を見ることができた。彼の顔をまじまじと眺め、こころの中で呟いた。

健くん、やっと会えたね。

同級生というのは勘違いで、彼のほうが一学年下のようだ。飛行機がトラブルにみまわれてからの30分近く、彼はどんな気持ちでいたのだろう。小学4年生だった俺の記憶をたぐっても、飛行機の中でどんなことを考えていたのか思い出せないが、かなりの恐怖だったのではなかろうか。そんな健くんのとなりには、22歳の女性が座っていたそうだ。そして、その女性の母によると、

「うちの娘は優しい子で、子どもが大好きだったんです。絶対に健ちゃんの手を、しっかりと握っていたと思いますよ」

健くんの母は、この言葉が立ち直るきっかけになったようだ。そして、なぜだろうか、俺もホッとした。

この事故に関する本は、これからも時々読むはずだ。そのたびに健くんのことを思い出すだろう。そして、君のことに想いをはせて、君が生きられなかった時間の大切さを噛みしめるよ。あの日、君と同じく初めての一人旅、初めての飛行機にトライした同世代として、そうせずにはいられないんだ。

2017年5月17日

喧嘩上手、生き下手、土方歳三が疾走散華する! 『燃えよ剣』


新選組というと人斬り集団というイメージがあって、ただそれだけの理由で10代から30代までは新選組関連の小説を忌避していた。その食わず嫌いを治してくれたのが浅田次郎の『壬生義士伝』で、それから新選組の本を何冊か立て続けに読んだ。いずれも面白かった。

そして今回、大御所・司馬遼太郎による定番の本作に手を出した。

中学・高校と歴史に興味が持てず、成績も下の下だった。挙げ句は高校の社会科教師から親が呼び出され、「数学や英語はこれだけの成績なのに、日本史がここまで悪いというのはナメているとしか思えない」とまで言われた。そんなつもりは毛頭なく、いくら覚えようとしても頭に残らなかったのだ。

興味がなかったから、とも言いきれない。英語も数学も興味なんてなかったのだから。きっと相性の問題なのだろう。だから、新選組関連に限らず歴史小説はわりと好きで読むが、歴史的なことや人名、地名、寺社名などはなかなか頭に残らない。脳の中の、そういうことを司る部分が弱いんだろう。

そんな俺でも胸熱くなりながら読めた。やはり、新選組の話は面白い。