2018年4月3日

「ものは言いよう」がよく分かる心理実験 『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』

まず以下の文章を読んで、選ぶとするならどちらかを考えてみて欲しい。

1.10%の確率で9500円もらえるが、90%の確率で500円失う賭けをやりませんか?

2.10%の確率で1万円もらえるが、90%の確率でなにも貰えないこのクジ券を500円で買いませんか?

心理実験では(2)と答える人が圧倒的に多いらしい。あなたはどうだっただろうか。実際には内容はまったく同じで、どちらも勝てば9500円のプラス、負ければ500円のマイナスである。

では次の問い。

1.術後1ヶ月後の生存率は90%です。

2.術後1ヶ月後の死亡率は10%です。

もう分かると思うが、これも同じことを生存率・死亡率と表現を変えて言っているに過ぎない。しかし、自分が患者だとしたら(1)に賭けてみたい気になる。

では、さらに問題。

ある病気が流行する兆しがあり、放置すると600人が死亡すると見込まれる。対策として、2つのプログラムが提案されているとする。さてどちらを選ぶだろうか。

1.プログラムAでは、200人が助かる。

2.プログラムBでは、3分の1の確率で600人が助かるが、3分の2の確率で600人が死ぬ。

次に、これらをこう言い換える。

1.プログラムAでは、400人が死ぬ。

2.プログラムBでは、3分の1の確率で誰も死なずに済むが、3分の2の確率で600人が死ぬ。

内容は同じだが、ニュアンスが違い、選択を変えたくなる人もいるだろう。


「ものは言いよう」という言葉があるが、まさにその通りだと思う。先日、これを診察室でも応用してみた。抗うつ薬の副作用について説明する時に、いつもは、
「100人に1人くらい、吐き気や食欲不振、下痢や便秘があります」
と言うのだが、少し変えて、
「副作用には吐き気が食欲不振、下痢や便秘がありますが、100人中99人には起こりません」
というふうに伝えてみた。結果は驚くべきもので、とは行かず、もともと抗うつ薬を飲むのに抵抗はなかったみたいで、伝え方を変えたことがどう影響したかは分からなかった。

でもまぁ、臨床にも日常生活にも使える心理学ではある。


上記実験は以下から引用。

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