2012年9月1日

本の思い出

サクラを抱っこひもに入れて、部屋の中を歩きながら本を読んでいてふと思った。まるで二宮金治郎だ。ちょっと言い過ぎか。

小さいころから本が好きだった。これは、畑仕事を終えて帰宅してから本を読んでいた亡き祖父の影響が大いにある。祖父はよく本を買いに連れて行ってくれた。小学校一年生のある日、畑の脇でタバコを吸っている祖父とこんな会話をした。
「おじいちゃん、タバコっていくらするの?」
「200円かな」
「じゃ、おじいちゃんがタバコを二つ吸わなかったら、本が帰るよ!」
苦笑していた祖父の顔を今でも覚えている。
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小学校の高学年に入ったある日のこと、俺がゴロゴロして本を読んでいると、母から「いい加減にして風呂に入ってきなさい」と言われた。俺は風呂場に行って脱衣所で本を読み耽っていた。なかなか風呂から出てこない俺を心配してか、母が脱衣所にやってきた。座り込んで本を読んでいる俺を見て呆れ顔になった母の顔も、やはり覚えている。

中学生になり、お気に入りの文庫本というものができた。カバーが汚れるのが嫌で、カバーを外して丁寧に持ち歩いて、同じ本を何度も何度も読み返した。そんな俺の姿を見て、同級生がその本を貸してくれと言ってきた。正直かなり嫌だったが、渋々貸した。本を返してもらった時、その文庫本の表紙が折れ曲がっていた。普段は内気な俺も、これには我慢ならなかった。彼のところへ行き、本が曲がっているじゃないかと指摘すると、
「あぁ、これ、はいはい」
と言って、カバーを手でさすって伸ばして、
「ピッ、はいこれでよし」
いや、これでよくない。曲がった痕は戻らない。あの時の同級生のなんとも言えない軽薄な表情、これもやっぱり覚えている。

この後の人生でも、本にまつわる思い出はたくさんあるが、今日はこのくらいにしておこう。

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