2016年11月17日
警察官になれる年齢の人は読んじゃダメ! 『警官の血』
警察小説を読むようになったのは、30代も半ばを過ぎてからだった。キッカケは横山秀夫の小説だった。そして、警察小説を何冊も読んだ結果、
「10代や20歳前後で読まなくて良かった……」
という思いに至っている。もし若くして警察小説に出会っていたら、影響されて警察官を目指したかもしれない。それほどに、これまで読んできた警察小説はどれも面白く、カッコ良かった。実際の警察官の仕事は、きっともっと大変だろうし、小説のようなことは滅多に、いや、現実には皆無と言って良いのかもしれないけれど。
本書を読みながら、ある患者さんの話を思い出した。その患者さんの息子さんが警視庁に採用されたのだが、警察学校の規則がとにかく厳しいらしいのだ。入学時には、寸法と個数の決まった段ボールに、中身もきっちり決められた物だけを過不足なく詰めて学校に送らなければならない。到着日も厳密に定められている。盆の帰省では、きちんと帰省した証拠として写メを撮って教官に送信しなければならない。もちろん、学校から実家に「帰省確認」の電話もある。同期生は団体行動が原則で、休日には床屋も昼食も一緒の場所に行って並ぶ。その他の細かいことまで決められており、徹底的に個人の自由を剥奪し、それと同時に集団への帰属意識を高めるようなシステムになっているのだ。警視庁の警察学校は全国的にも厳しいので、入学者の3分の1位くらいが辞めるようだが、それは訓練の厳しさだけでなく、こうした束縛を嫌ってということもあるらしい。
こういう訓練と振り落としがあってこその団結心であろうし、「あの厳しい訓練に耐えて、ようやく手に入れた立場だ」という感覚は、配属後の不祥事予防にも貢献している気がする。
本書は、昭和23年に警察官になった安城(あんじょう)清二、その子どもである民雄、そして孫にあたる和也という3代続く警察官一家を描いたミステリ・ドラマである。これまでの警察小説の例に漏れず、やはり面白かった。そして思う。警察小説は、まだ警察官になれる年齢の人たちには勧められない。俺みたいに影響されやすい人が、うっかり警察官になってしまわないように。
<参考>
これが「教場」だ!警察学校に“潜入”…「3歩以上は走れ」「携帯は休日のみ」壮絶な規律と訓練の日々
登録:
コメントの投稿 (Atom)
そういえば、昔「彼氏が警察官になった」同僚がいまして、交際している女性の勤め先とか確認のために職場に電話がかかってくるんですよね。あれには驚きました。
返信削除>こゆみさん
削除ひえぇぇぇ、そこまで……、いや、そこまでしてくれるから、警察関係者以外の我々は安心できるのかもしれませんね。