2017年4月7日

ノンフィクションとしての精神科カルテに想いをはせつつ、プロ野球選手の人生を読む 『ドラフト外 這い上がった十一人の栄光』


プロ野球にはまったく興味がないのに、どうしてこういう本を読み続けるのだろうか?

ふと、精神科医もノンフィクション作家みたいなものだよな、と思う。特に初診時サマリ、入院時記録、退院サマリでは、出身地や兄弟姉妹の有無、学歴、職歴、病歴その他について情報を得て、それらをまとめて記載する。

このとき、淡々と無機質なほうが良いのか、それとも読み手が引き込まれるようなものが望ましいのか。カルテに面白みを持たせる必要はないと思うが、かといって、全員が同じような内容になるテンプレート型のカルテだと、読むほうも退屈だ。このあたりはバランスが必要だろう。面白さを追求するあまり脚色してしまうのは論外だが、患者の人生における「キラリとした部分」を少しでも盛り込めれば、読み手の見方や考え方に良い影響を与えられるかもしれない。

カルテには事実のみを記すべきであり、「カルテで読み手に影響を与える」なんて考えは邪道だ、という意見もあるだろう。だが、多角的な治療のために「カルテを介した良い影響」を手段として用いるのは許容されるのではなかろうか。自分がそこまでの域に達しているとは言い難いけれど……。

本書に出てくる選手たちも、精神科で出会う患者と同じように、それぞれ起伏ある人生をおくっており、そこにひきつけられた。面白い本だった。

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