2017年12月26日

男泣きの連続 『炎立つ』


高橋克彦の文章はちょっと癖がある。視点の入れ替わりが多く、時どき、
「ん? これは誰の視点で、誰の言葉で、誰の気持ちなんだ?」
と戸惑うのだ。そこを堪えることができれば、中身はとにかく面白い。そして熱い。何度となく涙ぐんでしまった。

陸奥三部作と言われるもので、歴史の順序的には2番目に当たるのが本作。前作『火怨』と合わせて「人の上に立つ将たる者、どうあるべきか」ということを考えさせられた。医師は治療状況をみながら多くの看護師へ指示を出す、ある種の「将」という立場にある。いざという局面で医師が進んで矢面に立ってこそ、看護師も安心して仕事ができるものだ。これは指導医の教えでもある。
「患者が暴れたら、俺たちが一番前に出ないと、みんなついてこないよ」
精神科医療の現場での医師や看護師のあり方については、きっとそれぞれいろいろな意見があると思うが、俺はこの指導医の考え方が好きで、今後もそういう医師であり続けたいと思っている。

話が本から逸れたけれど、とにかく面白い本なので、「歴史はちょっと……」という人でも試しに読んでみて欲しい。ちなみに、俺は中学から高校まで、通知表の社会・歴史は5段階で「2」しか取ったことがないほど歴史を苦手としている。そんな俺がお勧めする歴史小説。

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