2018年1月31日

エラー防止策を人任せにせず自らも関わる意識を持つために一読して欲しい一冊 『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』

ある男が静かな田舎に引っ越した。ところが、早朝に近所のニワトリの鳴き声がうるさくて熟睡できない。そこで、男は睡眠薬を買いに行った。そして、その睡眠薬をニワトリのエサに混ぜた。


この笑い話を、事故分析と事故予防を考えるうえでの重要な教訓であると本書は指摘する。

うちの病棟で、Aさんの薬をBさんに飲ませてしまう誤投薬が発生した。この誤投薬は、これが初めてというわけではなく、何ヶ月かに1回は報告があがってくる。こうしたエラーを、個人の注意力不足のせい、あるいは資質のせいにしてしまうと、「今後はもっと注意しましょう」「あの人には負担のかかる仕事は任せないようにしよう」という結論で止まってしまい、本質的な解決には結びつかない。もっと建設的に、どうやったら防げるかを考えたり、そのための本を読んだりするのもチームリーダーである医師の仕事であり、また病棟医長としても大切なことだと考えている。

さて、この本がどうだったかというと……、医療におけるヒューマンエラーに関して医学生時代から興味を持ってあれこれ読んでいたので、目新しいものはそうなかった。ただ、そういう類の本を読んだことがない医師や看護師には、一度は読んでみて欲しい。特に医師には、病棟でのエラー防止策を看護師任せにせず自らも関わる意識を持つために一読して欲しい本。

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