2018年11月2日
肥りゆく世界のなかで、自分や家族になにができるか 『加速する肥満 なぜ太ってはダメなのか 』
8年間の田舎生活に慣れてから都会に出て驚いたのは、肥満している人の多さ。
ではなく、その逆。
肥満の少なさ。
田舎の人の多くは「玄関から車、車から職場(スーパー)」しか歩かない、いわゆる「ドア to ドア」で生活している。農林水産といった一次産業の人は多少なりとも動くが、それらも機械化が進んできたせいか、肥満している人は少なくない。
比べてみると、都会の人たちのほうが圧倒的にスリムである。
スリムな都会人、肥満した田舎人というのは日本に限った話ではなく、全世界的に同様の傾向にあるらしい。本書によると、アメリカでも大都市の人のほうが一日の歩行距離が長く、平均体重は2.7kgほど差があるという。もちろん、田舎の人のほうが重い。
都会は公共交通機関が発達しているとはいえ、バス停や駅までは歩かないといけない。駅の中も案外に歩く。都会生活では、こうして「ウォーキング」という運動が日々の生活に「意識することなく」組み込まれる。ところが、田舎生活だと「意識して」歩かないといけない。この差がメンタルに与える負荷は、おそらく無視できないくらい大きい。
田舎暮らしだったころ、隣人はゴミステーションまで車でゴミ捨てに行っていた。その距離は、なんと300メートルもないのだ! 驚くような話だが、現実には、多くの田舎で似たような光景が多々見られているようだ。たとえば、歩いて10分の親戚の家に車で行くことは決して珍しくない。これが都会で「駅まで歩いて10分」となると、そこそこ良い立地だろう。「歩いて10分」とは、そういう距離である。そして、同じ「歩いて10分」なのに、田舎のほうが遠く感じるということは確かにある。
世界中が肥りゆくなかで、自分自身や家族のためになにができるだろうか。本書には、そのためのヒントがあれこれ書いてある。ちょっと極端に感じられるダイエットもあったが、多くは著者の本業である心理学を応用したもので、決してハードルの高いダイエットではない。
俺自身は、都会生活になってジョギングを再開し、7ヶ月で7kgやせた。いま、高校時代と同じくらいの体重だ。田舎でも一時期は走っていたが、道路は歩道が整備されておらず、「歩行者なんていない」と思って運転している車に怖い思いをしたこともあるし、スズメバチに追いかけられたことも、イノシシに遭遇したこともある。
田舎生活での散歩やジョギングは、精神面だけでなく、物理的にも容易ではないのだ。
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