美味しい言葉を紡ぐのに、一生懸命になって隠し味を探す必要はなかった。
ユニークなものを独力で創りだそうとするのもムダ骨だ。
なぜなら、素人にとってまず必要なのは「言葉のレシピ」だから。
そして、本書は美味しい言葉のレシピを、誰でも手軽にトライできるくらいシンプルに解説してある。ちょっと読んだだけで、以下のような例が思い浮かんだ。
病院の混み合う外来待合室で、苛立つ患者さんから待ち時間を尋ねられた場合の事務員の対応。
❌「今日は予約が多いので、1時間ほどお待ちいただけますか」
⭕「診察にきちんと時間をかけたいので、1時間ほどお待ちいただけますか」
どちらも「1時間ほど待ってください」と言っているのだが、前者は単に病院側の都合であるのに対し、後者は相手のニーズに触れている。たったそれだけの言い回しの違いで、言われたほうの気持ちは変わる。
あくまでも例ではあるが、こういう言い換え、言い回しを考えたり身につけたりするための最初の一歩、ファーストレシピとして非常に優れた一冊だった。
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