いま読まないといけない。
具体的になにがどういけないか、うまく言えない。
しかし、読んで欲しい。
いや、読まないといけない、そう言いたくなる。
時どきお邪魔しているブログで紹介されていた本。
嵐の日にオウムの人たちへの差別を思う 森達也「A3」
講談社ノンフイクション賞授与に抗議があった本です 森達也「A3」(2)
麻原彰晃はピック病であると聞いたことがある。脳の前頭葉や側頭葉が委縮する病気で、俺の患者にも何人かいる。麻原の現在の状態がピック病によるものか、それとも詐病なのか、そこに興味があった。そんな動機で読み始めたのだが、すぐに問題はそこじゃないと気づかされた。どうひいき目に見ても、裁判所や検察の対応がおかしい。そして、それを指摘しないマスコミが怖い。
今や、信用がどんどん失墜しているテレビをはじめとするマスコミだが、それでもまだまだ影響力は大きく、他人の人生をぶっ壊すのなんてお手の物だ。
オウム真理教は、多くの人の人生を狂わせた。自発的かどうかの違いはあれど、人生を狂わされたという点では、被害者も信者も同じだ。オウム寄りと言われても仕方がないようなスタンスのこの本を批難する人がいても当然だ。しかし、書かれていることを知らないままというのは、本当に怖い。いかに自分がマスコミの洗脳を受けていたかを思い知る。
思えば、医療訴訟問題だって、マスコミが医師を仮想敵として仕立てた影響が大きい。事故が起これば医療ミスだと騒ぎたて、それが本当は事故なのかミスなのか、それともただの合併症なのか、そんなことにはあまり興味関心を向けない。煽るだけ煽って、医師を悪者にして、当然のように不起訴になっても報道なし。いつだって投げっぱなしだ。
本書はオウム問題が中心ではあるが、そこに描かれるのは現代の歪んだ構図。
手遅れだけど、やり直せる。世の中には、そんなことがあると思う。逆に、手遅れではないけれど、もうやり直すこともできない、ということもあるはずだ。
ならば、いまのこの状況はどっちだろう。
いま、読め。
あなたの中の何かを変えるために。
やり直すために。
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