2017年7月4日

躁うつ病とアルコール依存症だった中島らもの「共病記」 『心が雨漏りする日には』


「心の雨漏り」
さすが、コピーライターでもあっただけに、中島らもは秀逸な言葉を作るものだと感心した。

本書は躁うつ病とアルコール依存症だった中島らもによる闘病記ならぬ「共病記」。教科書に出てくるような、躁うつ病とアルコール依存症の典型的な経過である。躁うつ病に関しては、まず父親も躁うつ病という家族歴がある。それから初診時の診断は「うつ病」で、抗うつ薬を内服して3日で回復という過剰改善(処方されたのがリタリンだったというのも理由かもしれないが)。それから、躁うつ病とアルコール依存症は親和性・併存率が高く、著者もしっかり当てはまっている。こういう経過を面白く読めるので、精神科の初学者には勉強にもなるだろう。

また、反面教師としての精神科医も出てくる。初診時、うつ病と診断した後に「ゲーテもうつ病だった」なんて愚にもつかないことを言い、著者に言われるままにリタリンを処方。最後のほうに出てくる処方内容は混沌としている。そのせいで著者が悩まされた副作用体験も、やはり勉強になるはずだ。

何回も「勉強になる」なんて書くと硬い本だと思われるかもしれないが、誰が読んでも楽しめる内容だし、躁うつ病やアルコール依存症の人や家族が読んだら、「うん、これ分かる!」ということもあるんじゃなかろうか。面白かったですよ。

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