2017年10月7日

全体的には治療者向けだが、自分自身、あるいは家族・友人が境界性人格障害という人も読む価値は充分にある! 『境界性人格障害のすべて』から (4)


全体的には治療者向けの本ではあるが、自分自身、あるいは家族・友人がBPDという人が読む価値は充分にある。

ただし、書いてある症状・性格を自分自身に当てはめて考えないように。何を隠そう、俺自身がその罠にはまりかけ、「あぁ、俺ってBPDなのかもしれない」という気持ちになったのだ。

さて、BPDの根底にあるもの、それは「安心感の欠如」である。本来であれば、0歳から5歳くらいの間に養育者から与えられるべき安心感を、身体的・性的な虐待、ネグレクト、離婚などで、充分に与えてもらえないことがある。こういう家族を、機能がうまく作動していないという意味で「機能不全家族」という。その後、小学校に入ってしばらくの間、安心感の欠如は症状として表面には出てこない。この時期を潜伏期、潜在期、あるいは「ギャング・エイジ」とも言う。同世代の同性とグループを作って遊ぶ時期で、わりと安定していることが多い。ところが、思春期に入ると、情動の不安定性が噴出する。幼児期の「安心感の欠如」のツケがまわってくるのだ。

最後に、アメリカのエール大学精神科のリッズ教授が挙げる『健康家族の三大条件』について記載しておく。

  1. 夫婦間同盟 なにがなんでも妻を守ってあげる。
  2. 世代間境界の確立 祖父母に口出しさせない。
  3. 性別役割の明確化 父は男性モデル、母は女性モデルになる。

これには、特に3番に関して異を唱えたくなる人もいるだろう。あくまでも参考程度と割り切り、知っておいて損はしないと思う。

それから2について。子どもの責任は、成長して最終的には子ども自身がとるとしても、それまでの最終責任は親が担う。その最終責任を負うことのない人(祖父母や親せき)に余計な口出しをさせない、というのが「世代間境界の確立」である。

以上、かなり少ない分量の抜粋・要約であったが、この本に関してはこれで終わり。

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