2018年2月13日

疲れきった精神科医に小さく活を入れた本 『激励禁忌神話の終焉』


独り医長時代に読んだ本で、非常に面白かった。勉強になる、というか、独り医長としてやや疲弊した精神科医がよれてきた襟を正せるように、精神科の神様が出会わせてくれた本のような気がする。

本書を中ほどまで読み進めた日の深夜1時半、病院から急患の連絡が入り、押っ取り刀で駆けつけて入院させた。22時からの3時間は睡眠が取れていたので、始業まで病院に残ることにして、また本書を読みふけった。その日の外来は、それぞれの患者との面接が濃密で、ある摂食障害の人からは、
「先生と話して、すごく気持ちが楽になりました」
という感想をもらった。

いつもわりと淡々と話して終わることの多かった人だったが、今回は何かが違っていた。それはきっと、俺自身からではなく、俺という媒介を通して、本書が、というより井原先生が、彼女に何らかの影響を及ぼしたということだろう。この本が凄いのか、本一冊で診療が良いものになっちゃう俺が単純なのか……。

各章のタイトルが興味深く、それらを眺め渡しただけでも若手精神科医は興味を魅かれるんじゃないだろうか。

「激励禁忌神話の崩壊」
「仕事こそ諸悪の根源か」
「超短時間精神療法の経済倫理」
「精神科医は薬のソムリエにあらず」
「薬に依存しない治療」
「リストカットの臨床」
「接遇に慎重な配慮を要する人々」
「危機管理と精神科医」
(上記二つはクレーマーや医療事故時の対策の話)
「旅立つ人に何を語るか」(これはターミナルケアにおける精神科医の役割)

2 件のコメント:

  1.  ちょっとだけ、中身を、「こういうことが書いてある」と、話していただけませんか?

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    1. >SILVER7さん
      各章のタイトルが興味深いので、それらを本文にも追記しておきます。

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