2018年6月11日

学び、トライし、エラーし、フィードバックし、アレンジし、また学ぶ。こうして自分なりの診療ができあがる

若い精神科医が諸先輩の著した本を読んだり、後ろ姿を見たりして、
「よし明日からやってみよう」
と思い立ってマネしてもうまくいくことはほとんどないし、漫然と待って熟成するというものでもない。学び、患者に対して恐る恐る小出しにトライし、エラーからフィードバックし、自分の個性に合わせてアレンジし、そこにまた別の本から学んだことを追加し、トライしフィードバックしアレンジし、この積み重ねを続けるうちに、何年かして、
「あっ、なんだか身についている! 大御所とはちょっと違うけれど、これが自分なりにしっくりくるやり方だ!」
となる。そういうことを最近感じる。

ある精神科の先生が若手のころ、計見先生がこんなことを仰っていたそうだ。
「君らは何かといえば様子を見ましょうと言う。そうじゃない、介入しなきゃ、介入を!」
計見先生の著書では戦争、特に戦術の話がたくさん出てくる。その中でこんな話が書かれていた。

昔の海戦では、一発目の大砲は当てることを目的とはしていない。一発目がどれくらい的から逸れたかで二発目、三発目を軌道修正する。そのために一発目がある。だから、まず一発目を早く撃たないといけない。一発目から正確に当てようとして慎重に狙いを定めていると、その間に撃沈されてしまう。

計見先生が「介入しなきゃ、介入を!」というのは、まさに「一発目を撃て!」ということだろう。



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