2018年7月20日

患者と医療者の隙間を埋めるための入門書 『不確かな医学』


原題は『The Laws of Medicine』。本文に従って訳すなら「医学の法則」だが、著者はそれを「不確かさ」「不正確さ」「不十分さ」にまつわる法則であると述べる。邦題は、その意を汲んで『不確かな医学」とされたのだろう。

本書に述べられている法則は3つ。

1.鋭い直観は信頼性の低い検査にまさる。
2.正常値からは規則がわかり、異常値からは法則がわかる。
3.どんなに完全な医療検査にも人間のバイアスはついてまわる。

この法則だけを読むと、医学教育を受けていない人は「え?」と思うかもしれない。もしかすると、医療に完璧を求めるような人たちは、本書を読んでもピンとこないかもしれない。医療者なら、ほぼ全員が(残念ながら全員ではない)著者の主張を理解できるだろうし、深く共感できるはずだ。

有名TV番組『TED』の講演をもとに作成された本で、とても読みやすく、分量も少ないので短時間で読み終えてしまい、読み応えとしては少し物足りない。

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