2018年7月23日

数学が好きで、かつ『シンプソンズ』もある程度知っている人なら楽しめるはず 『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』


『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『代替医療解剖』『宇宙創成』と、これまで読んだサイモン・シンの本はどれも知的好奇心を刺激され、また満たされもした。

本書もこれまで同様ではあるが、数学的なことに関して言えば『フェルマーの最終定理』『暗号解読』のほうが詳しく書いてある。また、本書では過去の数学者たちの逸話についても触れてあるが、それも上記二冊のほうが断然詳細に述べてある。

となると、本書にしかない価値はなんなのか。

それはTVアニメ『シンプソンズ』の脚本を手掛ける数学マニアたちの生い立ちや考えかた、それから彼らがアニメの中に仕掛けた数学ネタの指摘や解説だろう。ところが、このうち前者についてはあまり詳細には記載されていない。また後者については、そこそこ面白いのだが、シンプソンズをほとんど知らない者にとってはイマイチ入りこめない。

数学が好きで、かつ『シンプソンズ』もある程度知っている人なら楽しめる本だろう。数学が好きなだけなら、本書よりは『フェルマーの最終定理』をお勧めする。

これまでのサイモン・シンの本に比べると、ちょっと物足りなかった。彼の邦訳本はすべて文庫化されているが、本書はおそらく文庫化されないんじゃなかろうか……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。