いわゆる「発達障害」、それもおそらく前に高機能とつくタイプの少年(高校生くらいか?)が主人公。彼の視点からみた外界の描写は興味深く、また彼の内界の描写が突然に(多くの読者にはそう感じるだろう)挿入されるのも、決して読みやすくはないが、こういう特性を持った人たちの感覚を追体験するようで面白い(現実には感覚の個人差が大きいだろうが)。
発達障害の人の家族、支援者が読むと、彼らへの支援のヒントが得られるのではなかろうか。もちろん、小説としてもそれなりに面白いものである。たいていの小説は読みながら主人公に感情移入するものだが、本書ではおそらくほとんどの人が主人公のクリストファーには感情移入しないし、できない。頑張ればできるかもしれないが、簡単ではない。これがまさに発達障害の人をとりまく現実であろう。そのあたりを、とても上手く計算して構成しているように感じた。
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