2018年9月3日

「何かを一緒にする人は、他にもいる。ただ、一緒に何もしない、という人は、他に誰もいない」 医師として、夫として、父として、息子として、一人の人間として、死について考えさせられる 『死にゆく患者(ひと)と、どう話すか』


國頭英夫先生(里見清一のペンネームのほうが有名か?)による看護学生のゼミをまとめたもの。とても濃い内容でありながら、國頭先生の軽口が冴えわたり、ちょいちょい吹き出さずにはいられなかった。こんな面白くて深い授業を受けられた看護学生は幸せだ。

中でも印象的だったのは、乳がんで妻を失った医師の言葉。
「何かを一緒にする人は、他にもいる。ただ、一緒に何もしない、という人は、他に誰もいない」
ハッとするような名文だ。ここで我が家のノロケというわけでもないが、たしかに「一緒に何もしない」という人を考えると、妻以外にいないのである。きっと妻にとっての俺もそうだと思う、思いたい。

本書の中心はがん患者についてだが、精神科医でも病院勤務である以上は看取りの役目を負うことがある。そういうとき、本人や家族に対してどういう話ができるのか、どんな姿勢でいるべきなのか。そんなことをたくさん考えさせられる、非常に素晴らしい本だった。

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