インテル国際学生科学フェアに出場する青少年1500人のうち6人を取材したノンフィクション。出だしから充分に面白かったのだが、中盤から後半にかけては胸が熱くなり、ときに涙ぐむようなエピソードもあり、とても良い読書時間になった。
どの学生も、決して恵まれた環境で研究を重ねたわけではない。むしろ外から見れば「不遇」「不幸」とさえ言える状況で、それでも自分の感性に訴えかけるなにかに突き動かされて「科学」を追究していく。その姿に胸をうたれる。科学「オタク」という言葉ではくくれない彼らの「戦い」は、科学フェアで互いに競うこと以上に、周囲の冷ややかな目、無理解、孤独といった逆境との戦いである。
邦題は、大崎善生の
『将棋の子』と敢えて似せてあるのかもしれない。内容も、10代の子たちの熾烈な競争という点で同じであり、『将棋の子』を「将棋抜き」で楽しめた人には、本書も「科学抜き」で楽しめるだろう。
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