精神科を初めて受診する患者さんの場合、いくら本人が、
「体はどこも悪くない。これは心の問題だ」
と言い張ったとしても、必ず「身体疾患によるものではない」ということを確認しなくてはいけない。これを、医師の言葉で「身体疾患を除外する」という。
初診ではなく、かかりつけの患者さんからも「最近ちょっと手が震える」という相談はよく受ける。真っ先に薬の副作用を考えはするが、きちんと診察すれば、それが薬剤性か、その他のものか、ある程度までは判断できる(ただし完ぺきとは言えない。また、ある病院の大御所の神経内科医は、患者が精神科にかかっていると知ると、痺れや震えをすべて「精神科の薬のせい」にしてしまうので困る)。
身体疾患を除外するためには、それなりに診察ができないといけないので、時どきこういう本を読んで診察法の復習をする。索引も含めて88ページの薄い本で3600円はちょっと高価に感じるかもしれないが、神経診察法に特化して非常にシンプルにまとめられており、このシンプルさの追求にそれだけのコストがかかったと考えると妥当な金額ではあるだろう。診察法を確認するのには向いているが、そのかわり、神経内科分野のさまざまな疾患についての説明はほとんどない。
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