著者のテンプル・グランディンは自閉症で、コロラド州立大学で教鞭をとっている。彼女は家畜施設の設計をする動物学者としても有名で、アメリカの家畜施設のかなりの部分に彼女の設計が取り入れられているそうだ。
もともと彼女のことはテレビのドキュメンタリーで観たことがあり、以前から興味があった。自分の全身を締めつける道具を開発して、そこに挟まっていると落ち着くのだと言っている姿が印象的だった。
もう一人のショーン・バロンも自閉症である。本書では、まずテンプルとショーンがそれぞれの生い立ちを語るところから始まる。そして、その冒頭だけで「自閉症は多様である」ということがよく分かる。それから各ルールについて、互いの考え方・感じ方を述べてある。
2800円とやや高価だが、ページ数は430ページにもおよぶ厚めの重い本で、分量からすると割高感はない。また、使われている言葉は平易で、翻訳も読みやすく、苦労なく読み終えることができ、充分に参考になることを考えると、質的にも相応の値段と言える。
参考までに「10のルール」を引用しておく。ただし、実際に中身を読まないと、きちんと理解することは難しいだろう。
- ルールは絶対ではない。状況と人によりけりである。
- 大きな目でみれば、すべてのことが等しく重要なわけではない。
- 人は誰でも間違いを犯す。一度の失敗ですべてが台無しになるわけではない。
- 正直と社交辞令とを使い分ける。
- 礼儀正しさはどんな場面にも通用する。
- やさしくしてくれる人がみな友人とはかぎらない。
- 人は、公の場と私的な場とでは違う行動をとる。
- 何が人の気分を害するかをわきまえる。
- 「とけ込む」とは、おおよそとけ込んでいるように見えること。
- 自分の行動には責任をとらなければならない。
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