2011年12月21日

生き方を考える、考え直す 『定年ゴジラ』

医師は、定年をあまり意識しない職業だ。
少なくとも、俺はいつリタイアするかをあまり考えたことがない。勤務医としての定年はあっても、そのあと、嘱託医や開業医の道もある。小さな精神科クリニックを細々とやっていくのも良いかなと考えている。だから、「定年」というものの仕組みも実はよく分かっていない。

60歳、職業によっては65歳、自衛隊なら55歳、など定年の年齢が決まっていることは知っていたが、その年齢の誕生日に定年退職になるということは、つい最近まで知らなかった。スタートは学校卒業後の4月にヨーイドンでも、リタイアするのは誕生日ごとだなんて……。4月生まれが早く辞められてラッキーなのか、3月生まれが長く働けて得なのか。個々人の生き方の問題だろうが、俺はできれば長く働きたい。


老後、なんてあまり考えたことがなかったけれど、思えば俺ももう36歳、折り返し地点といっても良いだろう。家族を持つ身としては、自分の死も、心の片隅、頭のどこかに置いておくべきかもしれない。子どもらが働くまでに充分足るような財産を残してあげられるか、俺の死後、妻が人並み以上の苦労を背負うようなことがないだろうか、パソコンの中にある見られて恥ずかしいものはどう処分すべきか、などなど。

生き方を考えるというのは、精神科診察室でのメインテーマと言ってもいいかもしれない。みんなの悩みの多くは、つまるところ、生き方の悩みだ。生真面目な人にふりかかる冗談みたいな出来事、
フラフラ生きる人にのしかかる深刻なトラブルなど、要はそれぞれの生き方にそぐわないものが悩みの種になる。そこで悩みそのものを消失させられたら良いけれど、なかなかそうはいかない。だったら、生き方のほうを少し考え直してみませんか、せっかく病気になったんだし。



定年ゴジラ

思いがけず精神科の話になったが、メインは本書。定年した山崎さんと、同じ町内の人たちの悲喜こもごもの話。あいかわらず、重松さんの筆が冴えている。

30代以上から定年前後の人たちにお勧め。

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