トランプにブラックジャックというゲームがある。裏にしたカードを交互にひいていって、合計21を目指すのだ。22以上になったら、その時点で負けが決定。いかに21に近いかで勝負が決まる。検察のやっていることは、カードを表にして10枚集めて、その中にあるものを自由に組み合わせて「21」(有罪)に近づけるゲームだ。
試験に例えるなら、合格率99.86%。落ちたら恥だ。こうなってくると、検察は正義を守ることが仕事なんて甘いことは言ってられない。「いや、お前それ言い過ぎやろ」と思う人もいるだろうが、さぁどうだろうか。いつ自分が犯人扱いされて無実の罪で起訴されて、あげく有罪判決を言い渡されるか。
元刑務官が明かす死刑のすべて
それでも俺は死刑存置派だ。だからこの本を読んでおくべきだと思って読んだ。
日本で死刑を廃止して、かわりに終身刑を導入したらどうなるか。裁判官は終身刑判決を乱発。日本の刑務所は7万人収容でパンク状態。これが10万人、20万人と増える。刑務所の建設費は、千人収容の施設で100億円。毎年必要になる収容費が一人当たり60万円、1000人収容したら6億円。人件費が年間18億円。
だから死刑を残すべきだ、というわけではない。ただ、刑務所を造って維持するのには、これだけの金がかかるということだ。
死刑執行にも携わったことのある著者は、死刑存置に賛成、死刑執行に反対という立場。なるほど、良いとこどりのナイスアイデア。現場を知ったものにしか分からない苦悩を読んだ後では、この考えに納得できる。
自分が考えるいい機会になったが、本書を人に勧めるかどうかでいうとイマイチ。途中、著者の小説が挿入されているのだが、これがちょっとヒドい。内容そのものは面白いのだが、地の文の視点が定まらず、小説の作法がまったくできていないため、読んでいて非常に疲れた。
<関連>
人を殺すとはどういうことか死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う
死刑について考えるキッカケ、にはならないが、わりと面白い 『13階段』
彼女は、なぜ人を殺したのか
終身刑=終身懲役は、実質日本には存在してるも同然なんですよ。
返信削除無期懲役の判決が確定しても、「こいつは絶対に出すな」という受刑者の名前の横にマルの中に「特」の字を、仮釈放に関して大きな権限がある「検察」が付ける(たぶんハンコ)のです。(2009年にバレた)。
最近は、そうでなくても仮釈放までの期間が伸びてるし、犯罪者も高齢化してるから、どう考えても死ぬまで出られないのがゴロゴロ。
言わゆる「ゆっくりとした死刑」です。
死刑は、無期懲役と違い、労役がないから、そうなるとマル特の無期より楽な刑罰という逆転現象になってます。
そうでなくても、刑務所が福祉施設化に向いてる中、確信犯的に刑務所に舞い戻る者が多いのが現状。
そうなると、死刑判決の増加にもかかわらず、あまり執行されないため、拘置所で日々過ごすだけの死刑囚に使われる税金が増えるばかりなのが、無駄に思えてなりません。
死刑制度はあってもいいけれど死刑判決はださないというのはどうですか。
返信削除光市に事件のように最高裁判事の間で意見が分かれるようなのは問題だと思います。
病理学的にはどうなのかわかりませんが「18歳以下は死刑にしない」と決めた法の趣旨にもっとも合致するのがこの加害者じゃないかと思うのです。
>ししとう43さん
返信削除なるほど、そんな現状なんですね。無期懲役ではなくて、「懲役200年」とか、そういうのありますよね、アメリカで。
そんな感じでやってくれないかなぁっていつも思います。
>佐平次さん
返信削除光市事件は裁判官で意見が分かれて、でもそれがあまり大きく扱われていないのが驚きです。
18歳以下を死刑にしないことが、果たして正しいのかどうか、そのあたりももっと議論を尽くしても良いと思うんですよね。更生というのは確かに期待したいけれど、女子高生コンクリート殺人事件みたいに、出所後に暴力事件を起こした際に「俺は若いころに女子高生を殺してコンクリートに詰めたんだぞ」というような者もいますし……。