2012年11月18日

スロウハイツの神様

スロウハイツの神様(上) 

一つの物語の中で、複数の登場人物の視点を行ったり来たりするような小説が苦手だ。理由の一つは読みにくさ。かなり上手く書かれていないと、いま誰の視点なのか、心情なのかが一瞬分からなくなる。そして、本書はどちらかというと、あまり上手くない。

複数視点を好きになれないもう一つの理由は、「現実との乖離」だ。人間は生きていくうえで、他者の考えや気持ちは、彼らの言葉や表情や動きその他を見て聞いて感じて推し量るしかない。笑顔で「好きだよ」と言われても、その裏の本当の気持ちなど分からない、それが現実だ。しかし、複数視点の物語だと主人公以外の登場人物の気持ちが分かってしまう。そこに馴染めない。

評価が非常に高かったので買ってみたのだが……、内容にもあまり現実味を感じられず、ちょっと残念だった本。

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