2013年4月16日

自殺報道のあり方について

自殺報道に関しては、自殺防止を目的にした世界保健機関(WHO)の勧告がある。

以下、Wikipediaから引用する。すべきこと、すべきでないことに分かれているが、特にすべきでないことのほうを日本のマスコミがやりまくっていて目立つので、そちらから紹介する。

【すべきでないこと】
・写真や遺書を公表しない。
・自殺の詳しい内容や、方法を報道しない。
・自殺の理由を単純化して報道しない。
・自殺の美化やセンセーショナルな報道を避ける(嘆き悲しんでいる人の映像を添付しない)。
・自殺の名所などの表現を避ける。
・宗教的、文化的な固定観念で報道しない。
・断罪しない。
・精神病に汚名を着せない。

日本の報道では写真・遺書の公開は平然と行なわれている。また自殺の方法もしっかり詳細に説明される。そして、「いじめ→自殺」「体罰→自殺」など単純化した図式で語られる。特に問題だと思うのは、遺族や友人知人にインタビューをして、お涙ちょうだいの演出をすることで、これを見た自殺志願者は「自分もこんなに悲しんでもらえる」と思うかもしれず、最後の背中の一押しをすることになりかねない。

【すべきこと】
・健康に関する事実を提供する際の責任者は、注意深く行動する。
・自殺か自殺未遂かということだけを報道する。
・関連する情報だけを、同じページで提供する。
・自殺に代わる方法を示す。
・ヘルプラインや各地域の支援機関を紹介する。
・危険な兆候や、警告サインを知らせる。
・セルフ・エスチームの向上(積極的な自己評価は精神的苦悩から成少年を保護し、生活上の困難とストレスに対処することができる)。
・学校でのいじめと校内暴力の防止(不寛容から解放された安全な環境の構築)。


さらに、アメリカの研究ではあるが、自殺が報道された後の一定期間、交通事故や飛行機事故も増えるということが分かっている。それも一人で自殺した報道の後には一人の事故、心中のように複数が同時に自殺したような場合には、犠牲者が複数の事故が増えるという不気味な一致。この理由は明らかではないが、一説では、自殺を考えているが「明らかな自殺は家族その他に迷惑がかかる」と思い止まっているような人が影響されて似たような行動を取るのではないかと言われている。

WHOの勧告は、日本語版でPDF化されており、こちらはWikipediaより詳細である。また少々表現が異なっているが、一読する価値はあるので紹介しておく。
【自殺予防 メディア関係者のための手引き 2008年改訂版日本語版】 PDF
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~psychiat/WEB_YSPRC/pdf/media2008.pdf


この機会に、ウェルテル効果についても読んでおくと良いだろう。
ウェルテル効果(Wikipedia)

<自殺と事故の関係について参考にした文献>


<関連>
閲覧注意!! 樹海の自殺防止パトロール
『「生徒の暴言で教諭自殺」を公務災害と認定』というニュースについて

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