2014年3月6日

「患者を対象に」から、「患者と一緒に」へ指向を変えたがん研究 『病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘』

文句なしの名著で、時間と体力があれば徹夜本になっていただろう。

著者はアメリカの腫瘍内科医だが、本書は医学書ではなく、一冊の長い小説を読むかのような、そういう感覚を味わった。とにかく構成が上手い。そして翻訳者が日本の医師なので、医学的に変な訳というものがなかった。


これはすべての医学生に勧めたい。そしてがん医療に少しでも携わる医師(つまり精神科も含めたほとんどの医師)、看護師、薬剤師、その他のコメディカルにも読んでみて欲しい。そして、現在がんと戦っている人、その家族にも、科学と医学ががんに挑んできた歴史、そして今もこれからもがんの研究は進んでいくということを知って欲しい。著者が言うように、がん研究は「患者を対象に」するのではなく、「患者と一緒に」繰り広げていくものなのだから。

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