2014年10月1日

潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る

脳出血によってロックトイン・シンドローム(locked-in syndrome)となってしまったフランス人男性が「書いた」本。彼は雑誌『ELLE』の編集長だったが、43歳の時に突然脳出血を発症したのだ。

ロックトイン・シンドロームは、顔面や四肢が麻痺して発語不能になる。意識障害ではなく運動障害で、意識が体に「閉じ込められた」状態になる。まばたきや垂直方向の眼球運動による意志疎通は可能だ。「はい」ならまばたき1回、「いいえ」なら2回といった具合に。

この本は、著者が20万回以上のまばたきで書き上げたものらしい。どうやるかというと、アルファベットをフランス語で頻繁に使われる順に並べたものを用意し、聞き手が1文字ずつ確認していくのだ。そして著者が意図した文字に来たところでまばたきをする。

なんて気の遠くなる執筆活動だろう!!

著者はフランスで本が発売された2日後、感染症による合併症で他界したそうだ。2冊目を「執筆」する予定もあったらしい。本書が面白かったかどうかというより、そのバイタリティに胸を打たれた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。