1993年10月3日、ソマリアにおける米軍とソマリ族の民兵による戦い(モガディシュの戦闘
)を描いたノンフィクション。2001年には映画化もされている。
著者は米軍兵士だけでなく、ソマリ族の民兵や民間人へも時間をかけてインタビューしており、それぞれの視点からの戦闘がリアルに描かれている。非常に多くの人たちの視点からの描写で、めまぐるしく場面が変わるので混乱してしまうが、それが逆に戦場のリアリティというものを感じさせる。
ソマリ族が、死亡した米軍兵士の遺体を引きずる光景は何度もニュースで流され有名で、それだけを見ればソマリ族がいかにも野蛮というイメージを持つ。しかし、本書では米軍兵士が武装していない女性や子どもや老人を撃ち殺したことも丁寧に記述してある。以下はソマリ族民間人の視点だ。
道のまんなかに女の死体があった。ヘリコプターの火器でやられたにちがいない。ヘリコプターの火器は、人の体をずたずたにする。腹の中身や内臓が外へ飛び出していた。幼い三人の子どもが硬直し、灰色になって死んでいる。うつぶせに倒れた老人のまわりに乾いた血のあとが大きく広がっていた。そばのロバも死んでいた。こうした記述から、かなり公平な立場で書かれているような印象を抱いた。
戦争・戦闘の真実がどういうものか、実際に体験していないので分からないが、映画のような派手さも勇壮さもないということがひしひしと伝わる良書であった。
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