統合失調症の人と話していると、彼らが妄想世界に入り込む瞬間を目撃することがある。
わりと多いのは、彼らの好まざる問題をアクロバティックな論理(これが妄想)でかわすパターン。たとえば、ハローワークで職探しという話題になったところで、
「天皇の孫だと判明したので働けなくなった」
とかわされる。
妄想突入の瞬間を目撃できたときは、
「この人の精神にとっての負荷は、こういう話題なのか」
と把握できる。その瞬間に居合わせなくても、妄想症状がひどくなったときに、自宅や入院での生活環境を確認してみると、彼らにとっての負荷がなにかを推し測ることができる。
さて、妄想には、被害妄想、誇大妄想、心気妄想など、いろいろな分類がある。
本人にとっての過剰な負荷を回避するための「アクロバティックな論理」が、ある人はその負荷に立ち向かう被害的な内容(「CIAと公安から嫌がらせされる」など)になり、別の人は負荷をするりとかわす誇大的なもの(「天皇の孫だから」など)になる。この負荷回避のパターンに、個々のキャラクタがにじみ出る。
こういう目で見ると、被害妄想を訴える人は妄想世界のなかでの「被害者」ではあるものの、キャラクタとしては「立ち向かう気質」の強い人、誇大妄想や心気妄想を抱える人は「直接的な戦いを避ける」タイプの人であることが多い。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。