精神科医の大御所、中井久夫先生による阪神淡路大震災の被災記録で、それに東日本大震災に対する所感を追加したもの。
いかにも中井先生らしい文章で、被災当時のことが綴られている。それに加えて、神戸という街への愛情というか、優しい眼差しというか、そういうものも感じられる。
こうしたことはともかくとして、「中井先生は躁うつ病的だ」というのは恩師の言葉である。本書の中で中井先生が自身の常用薬としてリーマス400mgを挙げられていたのには驚いた。リーマスは主に躁うつ病の治療薬なのだ。おー、恩師の推測は当たっていたようだ。ちなみに、躁うつ病的な中井先生に対して、「神田橋先生は統合失調症的だ」とのこと。
しかも、就寝前にはデパス3mgとあったので、なかなかの向精神薬の飲みっぷりである。
精神科医がみた大震災なので、外傷や遺体の話はほとんどなく、そういう話が苦手な人には読みやすいだろう。また、精神科専門の話もほとんど出ないので、医療関係者でなくても興味深く読めると思う。
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