2011年12月25日

ルーズ脳なバカ女に妙な肩入れをする精神科医の物語 『彼女は、なぜ人を殺したのか 精神鑑定医の証言』


ノンフィクションだと思っていたら、小説だったのかよ!!

堅いノリの本を想定していただけに肩すかしをくらった感じ。うーん、しまったなぁ。と思いつつ、読み進める。

実際の精神鑑定を知らない読者には面白いかもしれない。精神科医として読んでも、なかなか参考になるような部分もあった。

しかし、だよ。

どうせだれも読まないだろうからネタバレで書いちゃうけど、人を2人も殺しておいて、最終的なオチが無期懲役ってどうなのよ。

メインの登場人物は、主人公である精神科の教授、助手の女学生、被告の女と男。26歳のこの女は、それまで真面目に生きてきた。男は悪さばかりして少年院に入ったこともあり、20歳になったばかり。女はそんな年下男に恋をして、二人で愛の逃避行。まずは親の金を盗み、それが尽きると友人宅に忍び込んで盗み、女は、
「あとで返せば良いので、悪いこととは思いませんでした」
なんて言ってしまう、ルーズ脳にもほどがある呆れ女。

挙げ句、とうとうお金がなくなったものだから、古い知人の家に行って、同級生の女性と母親を殺してしまう。まずは金槌で友人の頭をかち割って、なかなか死なないので包丁で刺して、帰宅した母親を絞殺。男から殴られたからとか、怖かったからとか言っているけれど、本当の理由はもっと男と一緒にいたかったからでしょう、どう考えても。

そんな利己的ルーズ脳な女に、なぜか肩入れしていく主人公の精神科医。文中にも書いてあるが、明らかに陽性の逆転移が起こっている。地裁では死刑判決だったが控訴し、高裁で精神科医の鑑定によって無期懲役となる。

そして、最終章のタイトルが「この人生はなんて素晴らしいんだろう」。

この章は被告の女視点での回想で、
「ようやく自分のことを分かってくれた」
とかなんとか言うのだが、ちょっと待て。お前にとっては素晴らしい人生かもしれないが、殺された2人のことは考えているのか? その2人の家族や恋人や友人のことは? 
誰かを殺すということは、誰かの家族や恋人、友人のこころを殺すということだ。そのあたり、なにも考えてないね、このバカ女。こんなもので情状が認められていたら、日本はまさに犯罪者天国。

読み終えて、なんとも後味が悪い。だいたい、Amazonの宣伝文句が非常に悪い。
26歳、平凡なOL。女性死刑囚の「深層心理」と「からだ」の秘密とは
愛人にそそのかされて、彼女は強盗殺人を犯した。その恋愛心理、幼児記憶、そして胎児期の問題……。精神鑑定の第一人者が犯行の具体的な心理と鑑定の実際を明らかにする。
これ読んだら、たいていの人が実際の精神鑑定の本だと思うって。まさか小説なんて思わないよ、トホホ……。ちなみに、筆者は高名な犯罪精神医学の専門家のようだが、2009年にえん罪となった足利事件でも精神鑑定を行なっている。
当時の被告の弁護人は、「たった3回の面会のみで、当時の被告を代償性小児性愛者と断定した福島の鑑定結果には、大いに疑問の余地がある」とし、福島に対して面会時の録音テープの提出を要求した。福島は再三の提出要求にも、一切応じなかった。
仕方なく当時の被告は、福島に対して民事訴訟を提訴した。当初、自分の名前は「福嶋章」なのに「福島章」と記載されている(やまへん欠落)という理由で訴状の受け取りを拒否した。一方で精神鑑定書も法廷での宣誓書も自ら「福島章」と署名している。民事訴訟になると、福島は「テープは破棄した」と、提訴前の回答とは矛盾する答弁を行った。
Wikipediaより

小説の主人公である精神科医は、足しげく被告のもとへ行って話を聴いている。そして、最初に精神鑑定を行なった医師が先入観で鑑定をしていると批難している。あらら、これでは主人公と筆者の鑑定姿勢が大違いではないか……。

3 件のコメント:

  1. たまーに出没、こんにちゎ(^-^)。
    ネタバレ覚悟で拝見したら、ごめんなさい…。笑ってしまいました。

    私もフィクションだと信じて読み終えたら、最後にノンフィクションだと分かったことがあります。あのガッカリ感は体験者にしか‥あっ、ちょっと大袈裟過ぎですか?

    でも以来、必ずアマゾンの本の詳細ページで確認するようになりました♪

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  2. 【訂正】ノンフィクションだと信じて思って読み終えたらフィクションでした‥‥に書き換えて下さいww(-_-;)。

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  3. >ひかるさん
    Amazonの書評は要チェックですよねぇ。
    ガッカリ感、分かりますよ。
    この本がまさに大ガッカリでしたからね(笑)

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