2011年12月25日

患者が医師・看護師に意図的に暴力をふるう、それは犯罪だ

ちょっと前に、デパートの経営コンサルタントという人が書いた文章で、
「万引きされるお客様」
という言葉が出てきて驚いたことがある。万引きしても「お客様」扱いなら、強盗する連中だって「お客様」扱いだろう。食い逃げする者に向かって「ありがとうございました」と言う店があるだろうか。丁寧な言葉を使わなければ、という強迫観念が、こういう頓珍漢な言葉を使わせるのだろう。

患者から医師・看護師への暴力・性的暴行はずいぶん前から問題になっている。あくまでも、病院関係者の間で、ではあるが。個室に入院している男性患者が女性看護師に抱きついたが、報告を受けた師長は当たらず触らずで、患者も入院したままだった。路上で同じことをやったら絶対に逮捕される。仮に入院患者が重病で、抱き付かれたのが看護師だから許されるという言い分が許されるとしても、シチュエーションを病院外に移せば、誰もが認める性犯罪だ。

一方で、医療従事者は患者から、
「セクハラを受けた」
と訴えられる危険性にもさらされている。これは、あまりにも不公平ではないか。入院患者が看護師に抱き付いて許されるなら、医師・看護師が入院患者に抱き付いても許されるべきだ。というのは暴論としても、現状は医療従事者に対して非常に冷たい。

香川県内の医療機関で、職員が患者から暴力や暴言を受ける被害が深刻化している。先月には県内で、傷害や暴行の疑いで逮捕される患者も相次いだ。
これらの「院内暴力」に対処するため、ここ数年、専門部署を設置したり、警察OBを常駐させたりする病院も増えている。
県も今年度、暴力の予防に重点を置いたマニュアルづくりに乗り出しており、医療現場での対策強化が進んできている。

◆深刻化
「何で俺を先に診察せんのや」。先月初旬、ある病院の救急処置室。路上で倒れ、救急車で運ばれてきた男が声を荒らげ、男性医師に突っかかった。病院には当時、心肺停止状態の別の患者がおり、その処置を優先したことに激高した。
職員や看護師6人が取り押さえようとしたが、男は医師の胸を数十回突き飛ばし、病院が警察に通報。男は暴行容疑で逮捕された。
別の病院でもその数日後、「質問が気に入らない」と、職員の顔を殴った男が傷害容疑で逮捕された。
「早く処置をしろと言って胸ぐらをつかんだり、備品を蹴ったりするのは日常茶飯事」「看護師の首を絞め、殺すぞとすごむ患者までいる」……。複数の病院の担当者がそんな現場の現状を明かす。ある病院が職員約100人を対象に院内で調査したところ、4割が「患者から、身体的暴力を受けた」との結果が出た。
県によると、県立の4医療施設では、2-3年前から医師や看護師への暴言が目立ち始め、次第にエスカレートしているという。最近では、被害に悩んで辞職した看護師も出ている。担当者は「理不尽な暴力にじっと耐えている職員も多く、把握できているのは氷山の一角。本当の被害は計り知れない」とため息を漏らす。

◆対策
院内暴力の深刻化を受け、ここ数年、対策を本格化させる病院が出てきている。県立中央病院では2008年、マニュアルをつくった。騒いだり、必要のない治療を強要したりした患者には、院長が退去を命令できることなどを盛り込んだ。昨年には初めて、警察官を講師に、院内暴力の対処法講座も開いた。
高松赤十字病院は05年、院内暴力などのトラブル対策を担う「医療安全推進室」を設けた。各科の待合室には「脅迫的言動をした患者は診療を断る」などと書いたポスターを張り出した。
両病院と、香川大医学部付属病院では、3-5年前から、県警OBの職員が常駐。警察とも緊密に連絡を取れる態勢を整備した。

◆予防へ
県は今年度、予防に重点を置く県立病院共通のマニュアルづくりも進めている。「見せる警備」を行う▽待ち時間を短縮し、待合室を静かにして、患者をいらだたせないようにする--といった内容で、3月末までに完成させ、来年度から県立の各医療施設で運用することを目指している。県立病院課は「院内暴力がこれ以上ひどくなれば、医療が崩壊しかねない。先手を打ち、食い止めたい」としている。

11/02/21 記事:読売新聞

10 件のコメント:

  1. 今日も点滴の時、患者さんに蹴り飛ばされましたよ。
    そんなの日常茶飯事です。
    代わりと言ってはなんですが、よく患者さんを抱きしめてます。

    赤ちゃんって何してもかわいいですね。

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  2. 職場では厳しいです(涙)

    ピアノ教えてる社会人の生徒(30歳:男性)はレッスンにかこつけて手やら太ももやら触ってきます。「スベスベですね」とか「ここ、防音ですよね」とか気持ち悪いセリフつきで。
    室長曰く、「講師側は指名が入る以上断れないから我慢して」の一点張り。
    こっちが我慢しなきゃいけない理由がわかりません!
    レッスンよりも、そういう事に気を張ってるから集中して教えられないし、教える気もなくなります(/ _ ; )

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  3. >たに
    小児科は蹴られること多いよねw

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  4. >あっこ
    それ、性犯罪スレスレ、ていうか、スレスレでアウトやろw

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  5. 1番アウトなのは「触られてるうちが華!私達くらいになったらそういう機会もなくなる」って言う自分以外の講師(40代のおばちゃんズ)なんですよね。

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  6. >あっこ
    おばちゃんズのその発言は、内柴事件で女子大生を責める女たちとどこか似ているね。

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  7. 確かに…。その男が何かしても「気を持たせるような事言ったんじゃないの~?」とか言われそうです。
    ちょっとイケメンなせいで、その男も調子乗ってるんですよねぇ。こっちは仕事だから一生懸命なのに「俺のために一生懸命で可愛い」とか言われても…甚だしい勘違いですよw

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  8. >あっこ
    すごいねぇw

    ピアノ習いに行く人って意外に多いんだなぁ。
    大人で始める楽器って、週に一二回習って上手くなるイメージがないんだよね。
    自習練して、壁にぶつかった時に、
    「ほら、これ、ヒント」
    という具合に出されてグンと伸びて、また壁にの繰り返しなイメージ。

    子どもが習うんなら別なんだろうけど。

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  9. 子供の頃に習ってたけど辞めてしまって再び…って人が殆どです。

    小さい頃から習ってるからピアノが上手くなるというわけではないかも。幼児期に感覚器官が発達、完成するので音感は優れるかもしれませんけど、技術が身につくのとでは別問題なんですよね…(-。-;
    自分もピアノ以外の楽器は大人になってから習得しましたしw

    まれに、ピアノ教室での出会いを期待してる人もいますよwピアノの先生っていうイメージがいいらしいです。そして上手くいく事も多々あるらしいですw

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  10. >あっこ
    出会いがうまくいったという話は聞いたことがあるなぁ。
    それって、教える側もプロとしての線引きができてないよね……。
    患者や家族に手を出す医者にも多いんだけどね。

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