2011年12月3日

オバケに足をつかまれて

ブックオフの社員として群馬で働いていた頃の話。

埼玉から群馬に転勤したばかりで、アルバイトの人たちとなかなか馴染めなかった。アルバイトたちの心を鷲づかみにするような良い話題はないものかと、俺は日々ネタを探していた。もうこうなったら、オバケに足をつかまれてもいいや、なんてそんな風にも考えていた。ちょっと病んでいたんだろうな。で、ある日の夜にソレは起こった。

オバケに足を掴まれてみたい、いや、掴まれてみたくはないんだけど、掴まれた話でアルバイトたちのハートをがっちりキャッチなんて思ってはいたものの、俺のイメージでは足首をヌラーリという感じで掴んで欲しかった。しかし、実際には……。

夜中に目が覚めると金縛りにあっていた。あぁ、仕事疲れかなぁ、なんて呑気にかまえている反面、「つかむなよ、つかむなよ」と、ちょっとダチョウ倶楽部的な心境も。つまりは、つかんでくれ、と。すると、

グヮシッ!!

仰向けになった俺の太ももを抱きかかえるかのように、誰かというか何かというかが掴んできた。ちょっとパニックになった。
違う!! 俺が望んでいるのは、そんなハードなやつじゃない!! もっとソフトに、日本的に、ちょっと婉曲的な感じで掴んで欲しかったのに!! その掴み方は、いかにもアメリカ的だぞ!! シックスセンスでさえ、ベッドの下から出てきた手は足首をそっと掴まえていただろう? そんなことも分からず、侘びも寂びもないようなオバケに足をつかまれるとは!!
しかも両足。
そして、ズルズルーッ、と、ベッドの足側に引っ張られた。金縛りの引っ張られるのは、どこに連れて行かれるのか分からず怖い。身を固くして抵抗した。なんとなくお経みたいなのを心で唱えて、しばらくしたらフッと体が軽くなって一件落着。30センチか40センチくらい、足側に引きずられていた。

その部屋にはその後3ヶ月くらい住み続けたが、心霊事件は二度と起こらなかった。そして、この話でアルバイトたちのハートはしっかり掴んで打ち解けた。

ところで、あの時期一番怖かったのは、実は隣の住人だった。朝から目覚ましにエアロスミスのCDをかけると壁を殴りつけてくるのだ。どんな奴か姿を見たくて、休みの日にソイツが部屋を出る気配に合わせて俺も部屋を出た。ソイツは、自分の部屋の中からフルフェイスのヘルメットかぶってて出てきた。その異様な姿に驚いて、俺はすぐさま部屋に戻って、以後、CDはボリュームを極小にしぼった。

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