2012年1月4日

チェーン・ソーの思い出

小学校1年生のころ。担任の中年女性教師であるヒサダ先生が、
「覚えている中で、いちばん古い思い出を一人一人言ってみましょう」
と、それぞれに語らせたことがある。俺は、
「おばあちゃんの背中におんぶされていて、チェーン・ソーの音が怖くて、それでわんわん泣いていたのがいちばん古い思い出です」
と答えた。ところが、ヒサダ先生はキョトンとして、
「いや、いちは君が小さいころ、戦争はあってないよ」
するとクラスの友人たちも、「そうだそうだ!」と騒ぎ始めた。「うそつき!」という声まで聞こえる。俺は混乱した。ヒサダ先生、なにを言っているんだろう? みんな、なにを勘違いしているんだろう? そこで思い当った。そうか、チェーン・ソーが戦争に聞こえたのだ。祖父が仕事で使っていたチェーン・ソーの音が怖かったと言えば良かったのだ。
「いや、おじいちゃんが」
訂正しようとして、そこまで言ったとき、ヒサダ先生が口をはさんだ。
「だーかーらー、おじいちゃんは戦争に行ったかもしれないけれど、いちは君が戦争を覚えているわけがないでしょう、戦争は終わってたんだから」
そして、またクラスが騒ぎ出す。そうだそうだー、うそつきー。くぅ、めんどくせぇ。これはもう、単語一発で言い直すしかないと悟り、
「チェーン・ソー!」
と大声で言ってみた。ヒサダ先生は、「この子まだ言うか」といった表情で、ぎょろりと目を剥いて、
「あー? せんそう!?」
「チェーン・ソー!」
「はぁ? せんそう?」
「いや、そうじゃなくて、チェーン・ソー!」
「ん?」
「チェーン。チェーンとソー。チェーン・ソー!」
そこで、ヒサダ先生も自分の勘違いに気づいたようで、
「あぁ、チェーン・ソーね。戦争戦争って、なにを言っているかと思えば。ったく」

おいババァ!!

2 件のコメント:

  1. そういうのいます!!
    確かにババアに多い。腹が立ちます。〇カ〇カ
    が始まる・・・

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  2. >ゆめさん
    あんまり良い思い出のない先生なんですよねぇ(笑)

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