2012年1月7日

被災地への医療派遣を振り返る(2) ~ センスを問う ~

医療者に限らず、見る人のセンスを問うような写真がある。

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三枚とも、俺が被災地支援に行ったときに撮った写真だ。自画自賛になるが、ネット上にアップされている中で、これほど有意義な被災地の写真はそう多くないはずだ。

上記三枚は、震災の怖さを物語るものではない。震災後の混乱がひしひしと伝わってくるわけでもない。だからこそ、見る側にもセンスが問われる。そして、この三枚から何かを感じた人たちこそが、本当に災害対策に携わるべき人たちなのだろうと確信している。

些細なことで良い。いや、むしろ些細なほうが良い。大きく構えると実現が難しくなる。

例えば3枚目の写真を見て欲しい。これは、全国から集まった雑多な医薬品を、派遣された人たちがまとめたものだ。分野別、臓器別に分かれているのが、かろうじて読み取れるかと思う。

この小さい文字を見て、どう思うか。俺は、被災地への第一派遣グループには、凄く大きなスケッチブックが有用だと思った。この診療所は老人ホームだったので、このスケッチブックはたぶん入所者のものだ。おそらく絵を描くためで、そんなに大きくはなかった。これがもう少し大きければ、もっと作業効率は良かったはずだ。スケッチブックはいろいろな場面で使える(「待ち合い場所」「問診」「診察」といった患者整理に役立つ表示など)。

もの凄く些細だ。だけど、だからこそ実現可能であり、実際の現場では役に立つ。

もっと分かりやすいところでいけば、2枚目の写真の薬を入れた段ボール。一番大きな段ボールに、「救助用毛布」と書いてある。そんなものまで使わないと物資の仕分けができなかったのだ。これを見て、どう思うか。コンビニなどで働いた人なら分かると思うが、パタパタとたためるプラスチックの箱がある。そういうのが実はすごく便利なのだが、もう少し小さいほうが良い。



こういう会社は、ここぞとばかりにシェア拡大に乗り出すべきなのだ。軽くて、災害時にさっと持ち出せて、小分けの箱が何個もできるようなもの。決して民間の防災グッズにはなりえないけれど、災害救援時にはすごく役立つ。平時の需要は少ないけれど、多少高額でも各病院に売り込む。それだけでは商売として成り立たないので、そこからどう応用していくかが大事だけれど。少なくとも、ビジネスチャンスの一つではある。

もっと気づくところがありそう(写真の看護師が若くなさそうだゾとか※)だが、このへんでやめておく。

※写真の看護師は60歳を超えていて、実は退職後のパート職員である。当院のマンパワーのなさから、バリバリ働き手の看護師は派遣できなかったのだ。しかし、もし余震などで災害があった場合、彼女は被支援者になる可能性が高い。彼女には申し訳ないけれど、現実問題としてそうなのだ。俺が派遣されたのだって、まず内科や外科の医師は忙しくて抜けられず、当院には精神科医が3人いて、下っ端の俺が抜けても大丈夫だという判断からだ。決して俺が優秀だからではない。そういう人を被災地へ派遣したことから分かるように、支援だ援助だと言ったって、各県、各病院がどこまで本気だったのか分かったもんじゃない。これが現実である。ただし、実際に行った人たちがみな本気であったことは付言しておく。

<関連>
被災地への医療派遣を振り返る(1)

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