2015年4月7日

「耳鼻いんこう科」 大切なのは正しい発音ではなく、正しい伝達である

「耳鼻咽喉科」を「耳鼻いんこう科」に表示変更することになり、それについて耳鼻科の先生が院長に抗議していた。俺もその抗議に賛成だ。

そもそも「咽喉」を読めない人は、ひらがなで「いんこう」と書かれても、それが何を意味するのか分からないだろう。つまり「咽喉」を「いんこう」にひらがな表記したところで得する人はいないのだ。

逆に、漢字で「咽喉」と書いてあれば、それを見て「喉もみてもらえるのか」と分かる人がいる。しかし、ひらがなの「いんこう」にはそういう伝達力がない。なんのことか分からないまま「耳鼻咽喉科」を正しく「じびいんこうか」と発音することが、患者にとってどれほどメリットがあるというのか。

これがもし「耳鼻のど科」(じびのどか)に変更するというのなら、少しは賛成できたかもしれない。表音文字と表意文字を柔軟に使いこなしている日本において、大切なのは正しい発音ではない。正しい伝達である。

このままいくと、「せいしん科」「さんふじん科」「しょうに科」「がん(め)科」と書くのがデフォルトの情けない国と病院になりそうで怖い。

8 件のコメント:

  1. これって、ニュースとかで難しい単語をひらがなで表記するすることと同じですよね。
    確かに難しい漢字熟語は読めないかもしれないが漢字の表意文字としての役割を捨ててしまうことですよね。
    ただ読めなくても漢字で書かれているからなんとなく意味が分かるから読めないからひらがな表記にしてしまえというのはあまりにも安直すぎると思います。

    以前、唾液腺が詰まってものすごく痛くなったときに友人(医療職ではない)に相談したら「耳鼻咽喉科に行くべきだよ」と言われたのです。これってたぶん咽喉という字が使われているから耳鼻科に行けばと言ったようなのです。これがいんこう科ではまったくそんなふうに思いつかなかったと思われる一例だと思います。
    (唾液腺は唾石というものが詰まっていたとのことでした。)

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    1. >ぺんたさん
      クイズ番組で難読熟語を取り上げておいて、報道番組でひらがな表記というバランスの悪さはなんなんでしょうね……。

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  2. 「新聞社は『がく然』『危ぐ』と書くが、『愕然』『危惧』と漢字で読み書き出来ない者を、新聞社は社員として採用しない」と言った人が居ましたっけ。

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    1. >狂太さん
      「がく然」に「危ぐ」……、そんな例があることを知り、ぼう然としてしまいました……。

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    2. >いちは様
      新聞、特に左派系は、常用漢字表に無い漢字は基本的に平仮名混ぜ書きにするという方針らしいのです。これには漢字を多く知っているかどうかで知識に格差が出てしまうという、それなりの理由があるようです。大戦後、常用漢字表の制定や「新漢字」として漢字の簡略化を行ったのもそれですね。

      漢籍を読み漁ったり、小学校時代に習っていない漢字で署名して「カッコつけるな」と突っかかられた過去が有る私としては、馬鹿にされている気がして不快ですし、誰でも簡単に文章を書けるIT・ネット時代の今では、「耳鼻いんこう科」「がく然」「危ぐ」のような表記は知識格差を助長する逆効果をもたらすと思います。

      右派系の産経などは常用漢字外の漢字もバンバン使い、それらにはルビを振っていますが。

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    3. >狂太さん
      韓国では漢字を廃止したんでしたっけ? ネットで少し調べると、韓国は「識字率は高いのに文盲な人が多い」という話を見かけました。「耳鼻いんこう」なんてのは、まさにその典型になりそうな気がします。

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  3. あーあー、、
    こうやって、親切なんて名のもとに どんどん人々甘やかすから
    どんどん頭が悪くなるんですよね、、

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    1. >junkoさん
      親切も度を過ぎると迷惑なだけ、という一例ですね……。

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