2012年2月18日

文句なしの名作なのに絶版!! 『地に火を放つ者』

イエスの弟子トマスが主人公で、イエスとの出会いから、イエスが十字架に磔にされて復活するまでを トマス視点で描いた物語。


本作のイエスが、これまでに読んだ本でのイエス像とは違っていて、それがまたなんとも言えない魅力を醸し出している。酒好きで、女は抱くし、さらには男色さえも……。そして面白いのがイエスの言葉遣いとセリフ。自分を「おれ」と、イエスを信じる民衆を「あいつら」「こいつら」と呼ぶ。さらには、奇跡に湧きたつ人たちを冷ややかに見やる。「パンを出して崇められるのなら、パン屋が神になってしまう」と皮肉めいたことを言うなどは序の口。死んだ子どもを生き返らせた時などは、
歓喜の声を上げた群衆が、男(注:イエスのこと)の方に殺到した。使徒たちが前に出て群衆を抑えようとした。人並みに押されながら、男は不機嫌そうな顔つきをしていた。
「愚かなことだ。いま生き返った子供も、やがては年老いて死ぬ。こいつらは何を喜んでいるのだ」
とまぁ、終始こんな感じのイエスだが、その教えるところは奥深く、 クリスチャンでない俺も感心することが多かった。

聖書をほとんど知らない状態よりは、ほんの少しでも知識があるほうが楽しめる本だと思う。こんな名作が絶版なのは、さすがにキリスト教関係者からの抗議があったからなのか、と思っていたら、どうも版元が倒産してしまったかららしい。復刊を待ち望む声も多いようだ。

図書館にあったら、ぜひ手に取って欲しい一冊。

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