2012年2月21日
人生を変える出会いはバーで
ふらりと入ったバーで、それまでの人生が大きく変わる。そんなことがないとも限らない。たとえば絶世の美女が一人さびしく飲んでいて、普段は見知らぬ女性に声をかける度胸もないくせに、なぜかその日は勇気をもって話しかけることができて、そうすると出身地が近かったり、趣味が同じだったり、お互いに恋人と辛い別れをしたばかりだったり、そういうことが二人の距離を近づけて、気がつけばお互いに少し飲み過ぎたようで、そろそろ帰るわ、送りましょうか、いえ近くだから、でも大丈夫ですか足もフラフラ、だいじょっ……、ほらやっぱり危ない送りますよ、それじゃお願いしようかな、そんなやり取りをして、少し寒い夜道を歩くうちに指先が触れて、ためらいがちに手をつないで、大胆に指を絡めるようになり、体を寄せ合うようになり、コーヒーでもどうかしら、いえさすがにそこまでは、良いじゃないのあがってよ、それじゃコーヒーだけ、なんて笑い合って、部屋に入ればコーヒーなんてどこへやら、どちらからともなく唇を寄せて、服を脱ぐのももどかしく抱き合ってもつれ合って、電気をつけないままの薄暗い中で彼女に誘われて寝室へ行き、倒れこむように、押し倒すように、あるいは押し倒されるかのようにベッドに飛び込んで、お互いに裸になってみたら、あれなんでしょコレはついてますね、はいついてます、なんて、そんなことだってないとは言い切れない。そんな妄想をしながらドアを開けた。カウンターの奥で、ヒゲの男が頭を下げて言った。
「閉店です」
ふらりと入ったバーで、あっけなく追い返されることもある。
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バーに限らずひとり呑みに行くときは、とくに旅先では、、ね。
返信削除現実にならないから助かっているのでしょうが^^。
>佐平次さん
返信削除一人で飲みに行くことが時どきあるんですが、居酒屋でちゃちゃっと飲んで帰ることがほとんどなんですよねぇ……。ふらっとバーに入るような男になりたい時期もあったんですが、どうも性格になじまないみたいで……。
先を期待したら、がっかり。
返信削除でも、これが現実ですね。
いいですね!
知らない港町の小さなバー。
ふらりと入って、そこから物語が始まる。
こういう小説、書いてみたいです。
>海境惺さん
削除ありがとうございます。
幸いにしてこういう現実にはまだ直面していませんが、今後もないように気を付けますw
一緒にBARで飲んでた男が隣で潰れることもある。……ありますよね?!
返信削除>あー太
削除あるあr……いや、普通ないわw