舞台は恐らく今より数年先。人類は何らかの感染症に侵されたようだ。それに感染した者は、どうやら未感染の人間を襲うようだ。どうやって感染するかは分からないが、空気感染の可能性もあるようだ。
と、「~のようだ」が付くのが、この映画の凄いところ。
レンタル屋には1本しか置いていなかったが、グロいのが苦手な人にもお勧めできる非常に良い映画。
以下ネタバレ。
この映画、感染者に襲われるシーンが1回もない。だから特殊メイクや凝った映像などほとんどない。ひたすら感染を恐れ、安住の地を求め、人間同士で争う。互いに疑ったり罵ったり切り捨てたり奪ったり殺したり、というストーリー。
感染者が未感染者を襲う、というのも、登場人物たちの会話からの推測でしかない。世界の状況は、混乱している彼らの言葉を通してしか知ることができない。観ているほうは、彼らと同じ視点で映画の世界に放り出された感じになる。だから、怖い。何が起こっているのかよく分からない。でも、とにかくすべてに細心の注意を払わないと死ぬ、ということだけが分かる。じっとりとした恐怖感がうっすらと漂い続ける、そんな映画。
先にも書いたが、この映画では感染者に襲われるシーンがない。だからホラー映画とは言いにくいが、かといってパニック映画でもない。背景にゾンビ系の世界観を漂わせつつ、描かれるのは徹底的に人間関係だけ。もちろん、心理描写の深さに物足りなさを感じる部分もある。だが、このキャスティングと低予算で、これだけ創れれば上出来だろう。
久しぶりに得した気分になった映画。
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