2012年7月3日

人を殺すとはどういうことか

死刑に賛成の人も反対の人も、ちょっと読んでみて欲しい。

嘘か本当か分からないが、刑務所で服役中の殺人犯が書いたという本。同じ刑務所にいるのは殺人犯ばかりである。著者が何人かの受刑者らと接して得た彼らの本音に呆れ果てる。
愕然としたのは、反省と言う単語を口に出した時の反応で、ほとんどの人が「変なことを聞く人だ」という表情で私を見ました。
「反省って、事件のでしょう?」
「うん」
「そうだなぁ、やっぱり指紋を残しちゃまずいですよね。あとは、共犯に口の軽いのはダメですね。今回は勉強になりました」
(中略)
一緒にテレビのニュースを見ていると、事件報道がありますが、その際には自分たちの犯行を面白おかしく披露するのは、よくあることでした。
「向かってくるから刺しちゃったよ」
「黙って言うとおりにしてりゃ殺されなくて済んだのに」
「ひいひい言ってやがんだ。助けてくれって言ったって、こっちだってパクられたくないから助ける訳ないじゃん、バカな奴」
「あんな所にいやがって、おかげでこっちはこんな所だ、チクショーめ!」
こんな言葉が洪水のように溢れてきます。
「単に自分が服役したくないから殺してしまったわけだけど、それについてどう考えてるの?」
「うーん、ま、悪いかなと思ってます」
「それだけ?」
「へっ!? それだけとは?」
被害者に対しての気持ちはほとんどありません。ここでは珍しいことではなく、むしろ普通と言えるでしょう。
今回の事件は、深夜人の居住している住宅に盗みに入ったものの、何も目ぼしい物がなく、その腹いせに人が寝ているのを知りながら放火をして4人を焼死させたというものです。
もちろん端から人が寝ているのを知りながら放火したと言えば極刑は免れません。彼は徹頭徹尾「知らなかった」と警察でも裁判でも頑張り、裁判ではその風貌を十分に生かしてしおらしく振る舞い、無期の求刑だったのに有期刑を勝ち取った歴戦の猛者です。
(中略)
「僕は仕事で入った訳です。でも大した物もなく無駄な仕事をさせられました。それが、まぁ……恨みというか腹が立ったんですね。こっちはそれなりの手間をかけて入ったのに何もなく、むこうはグーグー寝ているという状況に無性に腹が立ってきて……。ま、それでやっちゃったんですね」
「あんな所にいやがるから殺されたんだ。まったくざまあみろだ。だけどそれでこっちは無期だぜ。ちっくしょうめ」
こういう言い方に同調して、俺の時もそうだったと話し始める人も少なくありません。
「いい恰好するから殺られるんだ」
「正義の味方ぶりやがって」
「黙って金を出せばよかったんだ」
「勘違いして向かってきやがって」
テレビや新聞のニュースで強盗犯が捕まったのを知ると必ず、「けっ、殺っちまえばよかったのによ。ドジな奴だ」と毒づきます。

人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白

文章はこなれていて、稚拙ではないが難解でもなく読みやすい。

俺は死刑についても色々本を読んだし、その度に色々と考えてきたけれど、やっぱり死刑は残して欲しいと思う。著者は「執行猶予付きの死刑」があっても良いのではないかと言う。もちろん、その猶予期間中は刑務所での生活となるが、そうしてこそ奪った命に対する反省や贖罪の気持ちが芽生えるのではなかろうか、と。俺はその案に賛成だ。

<関連>
殺人犯への怒りより、まず恐怖を感じて慄く一冊 『消された一家』
死刑
元刑務官が明かす死刑のすべて
彼女は、なぜ人を殺したのか

2 件のコメント:

  1. 一回だけコメントしてみようかな?貴方はかなり良識のある死刑肯定者だし!
    個人的には死刑反対です。反対理由としては、自分は「目には目を歯には歯を」って性格=自己正当化の性格な物で

    もし死刑を肯定していいなら「復讐をしてはいけないって教育は排除すべきだよな?」と言いたいからです。
    被害者の気持ちが無視されるなんて良くある事。それに我慢してきた被害者の気持ちが報われないからです。
    例えば、いじめとか意見の対立です。相手を殴りたいのに我慢した人の気持ちが報われないから死刑反対なんです。

    もうひとつ、「目には目を歯には歯をこそ正義」って考えは1つ欠点があります。
    自殺を目的に殺人を行えたり、法を逆手にとって自分の生き死にをゲームに出来る事。
    後者は物語を見て、自分が生死をかけた戦いに憧れた事があって、考え付いた事ですけどね。
    死刑があるなら、そんなゲームもしたきゃ出来るなぁと
    正直、こう言う人達を死刑にしても空しいだけです。相手の言う事は正論ですから、幾らでも人を殺していいことになります。
    自分は死刑になるから、それでいいよね?被害者さん達?と反省も無しに笑えるわけです。正直死刑が空しいです。
    それにそう言う人達を死刑にするって言うのは、人殺しの肯定に他ならないと思います。
    その場合、凶悪犯は正論を言ったまでの事ですから、凶悪犯を死刑にしたくて罰するのですか?と何か言いたくなります。

    後、死刑に反対する理由は、単純に人としてのプライド!殺人犯と一緒にされたくないってのも自分はあります。
    人を殺したからって、その人を殺せばもう人の自由を奪った人間と変わりません!
    目には目を歯には歯を!こそが正義と言って戦争する人と変わらないと思うからです。
    実際、自分は物を壊すのが好きで、その事を怒られた時、腹が立ちました!
    人は悪い事でも注意されるのは嫌だって感情もありますからね!この気持ちを考えると、人を殺したからって何で
    怒られなきゃならないの?って気持ちも考え諭すしか無いです
    タバコやお酒を飲む事を注意されたくない人と同じ事ですから。

    死刑を反対するなら、死刑に変わる効果的刑罰が欲しいですが、その案も自分は考えてます。「追放刑や流罪」ですね!
    これは死刑では無いし、凶悪犯の人権や自由も守れる物と思っています。いわばライオンやクマがいる野性の世界で、
    凶悪犯は何の援助も無く生きてみろと!野性の世界は、凶悪犯の求める「殺しの自由」がありますからね!
    殺しの自由があると凶悪犯にとっては聞こえがいいでしょうが、ものの数日で、無力な自分に気がつくでしょう!
    凶悪犯に自分の無力と、結局、人に頼り、人を守ることでしか自分を守ることは出来ない事を思い知らせる為に
    追放刑や流罪を自分は選びたいです。ま、更生目的なら刑にした人を見守る人は要りますけどね。どう思う?

    後、余談になるけど執行猶予付きの死刑は自分も賛成だな!(死刑反対だけど、アイデアとしてはいいと思ったので)

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    1. >匿名2013年6月9日 9:42さん
      ありがとうございます。
      ただ死刑に反対するだけでなく、そこからさらに代替刑を検討する姿勢に、消極的死刑存置賛成派の俺も納得です。最近は元裁判官の本を読んだりして、冤罪が起こることの怖さをつくづく感じ、やはり死刑は廃止すべきなのか……、とも考えているところです。

      追放刑、良いですね。どこかの無人島を用意して、そこで死刑囚同士で自由に生活させる。イヤな奴がいたら殺しても良い、と言うとちょっと極端ですが、それに近い感じで。もちろん、島から逃亡の恐れもあるので、島から出ないよう監視する船がいる。

      なんだか漫画の『自殺島』のような話になってしまいましたが、そういうのもアリなんじゃないかなぁと、まぁ空想の範囲内です。やはり現実的には懲役200年とか、そういうのを取り入れて欲しいです。

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